第14日

　今日も５：００に一度は目を覚ましたが、気づいたら５：３０、疲れがたまっているのだろうか。干しておいたカッパなどをザックに詰め込み、少し湿っているが、昨日着ていた服を着る。オニギリを食べ、７：２０出発。靴は外側は濡れたままだが、中はなんともない。いい靴である。安芸市内を歩く。日曜日のせいか、人通りもほとんどない。国道へ出ると、チャーリーが今日もコンビニで朝食のパンをほおばっている。昨日は、泊まる所が見つからず、結局後戻りして、安芸の町の入り口の橋の下で寝たといってケロッとしている。弘法大師ではあるまいし、私には真似できない。
　別れを告げ歩いていると、国道からサイクリングロードに入る。海岸と国道に挟まれてまっすぐに伸びた道である。車を気にする必要もなく、海を見ながら、緑に囲まれた整備された道で、歩いていて気持ちがいい。途中には小さな公園の休憩所もある。せっかくだから休憩させてもらう。太平洋を一望でき、なんとも気持ちがいい。今日の昼食は、食堂ではなく外海岸で海を見ながらすることに決定。
　足は、相変わらず痛いが、ペースは快調。どんどん進んでいくのが気持ちいい。１１：３０には、夜須の休憩所には着けるはず、途中コンビにで寿司セット、小夏、キャラメルを買う。古川さんに追いつく。彼も昨日は安芸市内に泊まったらしい。今日は、６：００に出発したらしいが、足の裏に別のマメができてしまい、絶不調とのこと。彼は、夜須の手前の食堂に入っていった。そのまま進むが、地図にある休憩所がないので、仕方なく浜辺へ出て昼食とする。靴も靴下も脱ぐとなんとも開放されて気持ちがいい。海を見ながら昼食をし、しばし横になる。波の音を聞きながらゆっくりと休憩させてもらう。このまま眠ってしまいそうである。今日は早く寝ることにしよう。
　腰を上げ、サイクリングロードに出ると、古川さん。そうとうにきつそうである。携帯電話が鳴り、奥さんからのようで、会社のことやら現実に戻っていた。お先に失礼し、黙々と歩く。気が付くと前方に、一輪車を押しているおじさん。彼には、午前中にも会った。そのときは、てっきり地元の人と思っていた。彼は、あれからずっと歩いてきたのだ。よく見ると一輪車には着替えやら荷物のようなものを載せている。話に聞いた一生歩き続ける遍路なのだろうか。
　彼を追い抜き、黙々と歩く。高知市も近くなってきたらしく、国道の幅も広くなり、交通量も増えてきた。今日の目的地、大日寺まであと４キロ。今日古川さんが泊まる予定の宿を過ぎ、あと１キロのところで左足に今までにない痛み。靴を脱いで見ると、なんとマメができている。これまで靴のサイズの違いで悩まされてきたが、マメはできなかった。なんでここに来てマメができるとは。つま先に加え、ひとつ悩みが増えた。バンドエイドを貼ってみると、少しは楽に歩ける。国道から反れたころから、風が強くなってきた。時折の突風に体がよろけそうになる。こうなると足に余計に応える。だんだんびっこ状態になってきた。大日寺の標識まで来たところで、チャーリーに再会。彼は、お参りを済ませ、２９番くらいまで行き、野宿の場所を探すらしい。タフである。
　１４：４０、２８番大日寺到着。人はまばら。2週間歩いていると、数日間のペースで会う人の顔ぶれが変わっていく。お互い、歩くペースが違うからであろう。これまで、ほとんど一緒だった古川さんとはこれっきり会うことはなかった。彼は、足に相当のダメージを受けており、それに比べ元気な私は、とうに先を行っているはずなのに2週間近くも同じペースというのは、いかに楽なお遍路をしていたかと言うことである。
　この大日寺の境内で会ったのは、一昨日から何度か見かけたヒゲのオヤジであった。どちらが、追いついたのかは分からないが、一昨日から3度目である。
　納経を済ませ、宿へ向かう。あっけなく今日の宿「旅籠土佐龍」到着。団体さんも泊まる宿らしく、お土産売り場がかなり広い、どこが入り口か分からないほどである。お土産売り場を抜け、2階のフロントへ。チェックインの手続きをすると、前金とのことで、7,350円を前払い。意外と高い。団体用の部屋を抜け、２階の個室へ案内される。案内されるだけでもましか。こういう宿で個室とはありがたい。日記と絵葉書を書いていると、風呂の案内。さっそく風呂に行くと、すでに先客。あのヒゲオヤジが入っていた。風呂の窓が西を向いており、西日が当たる明るい風呂も贅沢で気持ちがいい。途中、団体らしいおじさんたちが着たので、頃合もよく上がる。
　ビール500ｍｌを買い、洗濯物を干して、日記を書く。部屋も西日が当たり明るく、明るいうちからビールを飲みながらゆっくりと時間を過ごしているとは罰当たりなお遍路である。。
　６：３０に食堂へ行く。食堂は、かなり広く、団体さんにも対応できるようにもなっている。すでに配膳がしてある。団体さんは中央の一並びを占めているが、我々のような個人客は、ぽつんぽつんと寂しいものである。そんなことはどうでもいいことで、席に座ると牛肉のたたき。遍路相手の宿があからさまに肉を出していいのかと、要らん心配をしてしまう。今日もビールとお酒をいただき、出されたものはありがたくいただく。隣の団体客も、盛り上がっている。聞くと、飯塚からとのこと。嬉しくなるが、そこは筑豊と筑後なのか、ただ疲れているだけか、話しかけることもなく盛り上がりを冷静に見ているのであった。デザートに小夏が出ていた。聞くと、小夏は外皮だけ剥いて、内側の白い薄皮は残してそのまま食べるものらしいい。早速部屋に帰り試してみると、なるほど薄皮ごと食べるとおいしい。とりこになってしまった。もっと買えば良かった。
久々に大河ドラマ「北条時宗」を少し見て、９：００就寝。
　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（歩行距離：２５．１ｋｍ）