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第11日

4月19日(木) 快晴  
気温12℃(7:00) 27℃(13:00) 

 4:30起床。荷物を整理し、カメラを持って海岸へ。日の出の写真を撮る機会を待っていたが、この海岸は東向き、しかも今日の天気は晴れの予想。絶好の機会である。空は白んでいる。しかし、水平線の上には雲。水平線からの日のでは無理なのかと思いつつも、待つこと30分。水平線の上の雲からお日様が顔を出してきた。思わず手を合わせ祈る。人には遥か古代の時代より、太陽に対する畏敬の念がDNAとして組み込まれているに違いないと思ってしまう。
 春とは言え、早朝の海岸の気温はかなり低く寒くなってきた。6:00から朝食なので、宿に戻ると古川さんは朝食も摂らずに出発していた。
 朝食のメニューに納豆、久しぶりである。四国の人はあまり納豆を食べないのかもしれない。今朝もご飯を丼に2杯食べる。何とも食欲のあること。他の遍路は、朝食を早々と済ませ、出発していった。身支度を整え、出発に際し、女将さんの写真を取らせていただく。昨日の洗濯のお接待と昔ながらの心遣いに御礼を言い、歩き開始。
 海岸の道に出て、砂浜が続く。少しずつ登り勾配となり、岩場の海岸となる。国道55号、集落もない海岸の道、天気も快晴、気持ちいい歩きである。今日は、登山用の靴下を履いているためか、早くもつま先が痛くなってきた。
 先方には、中西さんと日本一週男の黒川さんの姿。二人を目標に歩く。1時間に10分の休憩のペースで歩く。このペースは結構良い。歩く道の先には、遥かかなたに岬というか海へ落ち込む山が見える。その場所に着くと、さらにその先に新たな岬。その繰り返しである。新たに見えてくる岬が室戸岬なのか、まだその先なのか。
 集落が見え、佐戸浜の町に入る。魚の産地直送の看板があったので、知人に送る約束をしていた「かつお」がないか聞いてみるが、かつおはなく伊勢えびとヒラメしかないとのことで、あきらめ歩き再開。
 ほどなく、黒川さんに追いつき、お互い海岸の道で写真を撮りあう。彼は、休憩もせずに出発していった。自分はちょうど1時間ほど歩いたので、しばし休憩してから歩き再開。夫婦岩ぽい岩が見えてきて、近くにドライブイン、この先いつ昼食にありつけるか分からないので、ここで昼食とする。定食しかないので刺身定食を注文、刺身とイタドリのおひたしと味噌汁で1,200円、高いが仕方がない。いつもどおり靴と靴下を脱ぎ、ゆっくりするが、今日は最長の34キロ、気が焦ってきたので出発。
 午後になり、段々ペースが落ちてくるのが分かる。国道のガードレールに距離表示があるので歩いている距離が分かるのだ。午前中は、時速5〜6キロのペースだったのに、今は4キロがやっとである。さらに例の左足のつま先に激痛が走る。たまらず足を止め、休憩。気合を入れ歩き再開。もう気持ちで歩いている。椎原、三津の町を過ぎたところで最後の休憩。靴を脱ぐしかない。もう限界。そこへ「佐々木さーん」の声。先を見ると、古川さん。手を挙げ応える。古川さんも頑張っている。気合を入れなおし出発。ほどなく古川さんに追いつく。古川さんの足の痛みは相当のはずである。それでも必死に歩いている。そして、彼の今日の宿は、自分よりも4キロ先なのだからと、自分を奮い立たせる。一緒に歩いていると、足の痛さも少しは紛らわすことが出来る。それから大きな弘法大師の像が現れる。室戸岬で悟りを開いた若い頃の大使の像らしい。そして、今日の宿「ホテル明星」に到着。
 古川さんに別れを告げ、チェックインを済ませ。部屋にザックをおろし、外へ出てみると古川さんがまだいた。二人で海岸の遊歩道を歩き、大使が行水をしたという池を見たり、洞窟で瞑想をしていたときに明けの明星が体の中に飛び込んできて覚醒し、悟りを開いた場所である御蔵洞にお参りをする。古川さんはこれから山の上の最御崎寺にお参りを済ませるらしいので、自分も今日の内にお参りをすることにする。登山道に入ると結構きつい登りだが、ザックを背負っていないので、意外と楽に登れる。結構脚力がついているのかもしれない。30分かかるとされていたが、15分で24番最御崎寺に到着。本堂、大使堂にお参りし、今日の御礼と明日の安全をお願いする。古川さんも、ほどなく到着したので、お別れを言い、今来た登山道を下る。登りと違い、下りはつま先が靴に当たるので、かえって辛い。早く宿に着きたい一心で下る。16:30にホテル明星着。すぐに大浴場に行く。湯船も大きく、窓の外は、太平洋の雄大な眺望、気持ちがいい。足を揉んだりしてゆっくりして、洗濯も済ませ、部屋に戻るが、これまでと違い疲労がぜんぜん取れない。こんなことは初めてである。部屋の中を動くにも四つんばいである。とにかく疲れた。
 それでも、明日の宿を予約し、レストランに行き夕食にする。今日の宿泊費は、これまでで最高額の9,000円である。さすがに夕食も豪勢で、納得である。
 部屋に戻るが、葉書を書く気にはなれないが、なんとか日記だけ書いて、8:40就寝。
                         (歩行距離:34.6km)

まるた屋のおかみさん

荷揚げ

大漁旗とこいのぼり

遥かに続く海岸線

青年大使像

ホテル明星

大使行水の池

御蔵洞

最御崎寺

夜明けの野根海岸

海岸の道を行く

海岸の水田