2007

　四国遍路に魅せられ、初めて歩いた平成13年から6年、あのお遍路から自分の人生も大きく動いた。
　四国から帰り、保険会社に入社。これまでの経歴など通じない1年生としての再出発。代理店として独立を目指し、営業の毎日。同時に資格試験獲得のための勉強。こんなに勉強するのは大学入試以来だろう。あの時より集中力があるかもしれない。とにかく前を向き、がむしゃらに頑張った。これまで、縁をいただいた人たちにも助けてもらった。しかし、私生活では、父親の病気、自分を我が子のように見守ってくれた義母の死。そして、突然の肺炎での入院。
　その肺炎の治療はとにかく安静にしていること。多少熱があるくらいで、別に痛みなどない。2週間することがない。ちょうど冬季オリンピックの開催中。毎日、オリンピック観戦が日課となった。スピードスケートを見ていたとき、4年前の長野オリンピックで、清水選手が金メダルに輝いた瞬間、なぜだか市議会議員に出ようという衝動に駆られたことを思い出した。それまで、代議士秘書をしていた頃、市議会議員に対する評価というか、地方議員というのはいつも何の仕事をしていうるのかというところがあった。と言いながら、秘書をしていて故郷のために働ける喜びも感じていた。
　同時に、保険の仕事をしていて、秘書時代と比べ充実感というか、いまひとつやりがいというものを感じられず物足りなさも感じていたことも事実である。そんな気持ちの中での、あの市議会議員になって故郷のために働きたいとう衝動が甦ってきた。退院後も頭から離れない。ちょうどその頃、全国的に市町村合併が叫ばれており、自分の住む柳川市も近隣自治体との合併に揺れていた。ことさら気持ちが膨れ上がってきた。そうなると、もう押しとどめることができない。立候補を決意。保険の仕事も断念せずに、続けることができることになった。
　そして、平成15年春、市議会議員に立候補し、当選することができた。とにかく地域のため、そこに住む人たちのために働けることの喜びというか充実感を持って仕事をする。これが、自分の一生の仕事なのかと再認識させられる。また、それまでの自由気ままな独身生活に別れを告げ、生涯の伴侶にも恵まれ、家庭を持つことになる。そして、二人で戦った2回目の選挙。
　これから二人の人生を創っていかなくてはならない。そう考えたときに、ひとつの区切りとしてあの四国を歩きたいとの思いが沸々と湧き上がってきた。嫁さんも、最初は渋っていたが、理解をしてくれ、快く送り出してくれた。
　そして、平成19年春、修行の道場土佐の西部を、足摺岬を目指し2回目のお遍路となった。