１２月１８日 他人の振り見て・・・
昨日で定例議会が終了した。
問題となっていた白秋の編曲の件は、賛成多数で可決したわけだが、5〜6名の議員が反対した。前回書いたが、市長は総務委員会の中で「議会が全員賛成でなければ執行しない」としていた。昨日は、議会と執行部の合同懇親会が開催された。その際の市長は挨拶の中で「色んなご意見をいただきながら慎重に執行したい」とした。
ということは、執行するのだろうか。私は賛成したのだから、これ以上追及するつもりは無いが、どう取り扱うのか見守りたい。
ところで、昨日の懇親会で、副議長が乾杯の時「議会の雰囲気が穏やかというか、緩んでいる」といった趣旨のことを話していた。そういえば、最近の市役所内の雰囲気が緩んでいるように感じる。市民の方々からも、「こちらから声を掛けても、下を向いたまま返事すらしない」、「頼みごとに無しのつぶて」「「ジュースを飲みながら市民の対応をしている」、果ては「他の自治体からの問い合わせになかなか返事をしない」などなど、多彩な苦情である。
どういった組織でも、トップ、管理職次第で雰囲気が決まる。無愛想な社長の会社は、社員も無愛想であるし、教育が徹底している会社は、会社に入っただけで「いらっしゃいませ」とくるし、雰囲気もピリッとしていて気持ちがいいものであるし、そういう会社は、業績も当然良いものである。
これは、厳しい目で見ていかなくてはならない。
しかし、そういう私も選挙のとき挨拶に行った家の方から「あんたは、この間すれ違った時、挨拶すらしなかった」とお叱りを受けたことがある。「他人の振り見て、わが振り直せ」である。気をつけねば。
１２月１０日 白秋の作品の重み ２
前回、白秋作品の編曲のことを書いた。勇み足になるかもしれないと書いたが、事は議会内のみならず市民を巻き込ん論争に発展してしまった。
まず、私と長老議員の質疑後、私をはじめ多くの議員のところに、コーラスをやっている方々、学校関係者から電話をいただいた。
「編曲の意味が解っているのか、日ごろ市民が耳にする市民コーラスグループが歌うものも編曲である。あなたたちは勘違いしているのではないか。議会のレベルを疑う」
「佐々木さんに反対しないように、多くの人たちから頼まれたから電話した」というものであった。
マスコミからの取材もあった。正直に感想を述べたわけだが、7日の日に朝刊の3面記事にデカデカと掲載された。それも、私の名前まで掲載された。白秋会の会長さんまで登場していた。
それからは、どちらかというと反対論のオンパレードである。執行部と学校関係者を批判する怒りに満ちたご意見もいただいた。教育委員会にも、市内外から多くの電話があったそうである。白秋の名前の影響力というか、それほど白秋の存在は大きいという証である。
いよいよ今日、総務委員会でその審査があったわけだが、冒頭執行部から再度提案の理由と内容が説明された。
まず、「この編曲は、原曲が独唱曲であるため、単なる合唱曲にするだけのものであり、決して音程を変えたり、曲調が変わるというものではない」ということ。
次に、当初の提案が誤解を与えるような提案であったこと。説明不足であったこと
そして、白秋に関係する方々をはじめ、多くの方々のコンセンサスをとっていなかったこと。
陳謝とともに、説明がなされた。
結論から言うと、この取扱は執行部の判断に委ねるということになった。市長も、議会のみならず、白秋の顕彰会ををはじめ、多くの方々の理解が無ければ執行しないとした。
私は、今回の件に関し、「まず執行部の提案が、変声期の子供たちには歌いづらい。歌いやすいように編曲したい」ということであった。となると音程が変わるのか、曲調を変えてしまうのかということになってしまう。まず提案理由自体がおかしいということ。これだけの反響になった原因を作ったことと、反響を重く受け止めるべき」
次に、「見積もりをとってするという性格のものではない。中身で選ぶべきもの」
「白秋の曲は様々編曲して歌われているが、それは合唱団をはじめとして民間レベルでなされているもので、白秋の母体である地元の行政がすべきものかどうか。それを行おうとしてる重みを認識しているのか」
ここをしっかりと認識すべきとしたわけである。
既に述べたが、市長は、議会、白秋に関係する人たち、今後そういう人たちのコンセンサスが無ければ執行しないとしたわけである。
とにかく今回の件は疲れた。私もこれまで大きな論争となるとは予想していなかったわけだが、あの新聞が大きく影響したことは事実である。
方向は来週の採決で決まるわけだが、今回の一件で白秋の名が大きくクローズアップされた。そして、私も含め多くの人たちが白秋を再認識する機会となったことは間違いないし、その反響の大きさから白秋の存在の大きさ、多くの人たちに愛されているということが確認されたわけである。
今後は、新たに白秋の名と作品ををいかにクローズアップしていくのかが問われると思う。
しかし、ある議員が「今回の件は単なる編曲という技術的問題であって、歴史観、文化論を持ち出すのがおかしい」と言った。「お前はそれでも柳川人か、柳川の議会人か」と言いたい。なんとも嘆かわしい。
１２月２日 白秋の作品の重み
今回の議会の議案の中で、「北原白秋作品編曲業務委託料50万円」というものが、提案されている。
北原白秋は、いわずと知れた柳川が生んだ近代最高の詩人である。
この柳川市が生んだ最高の文化人であり、誇りである。その北原白秋を育んだ柳川の歴史、風土、風景、その柳川に生まれ育ったことを誇りに思わずにはいられない、そういう存在である。
北原白秋は、詩、童謡をはじめ、俳句、書画と多彩な才能で、多くの作品を残している。その詩、童謡は広く国民に親しまれ、いまでも歌い継がれ、多くの人に多彩な影響を与えている。
今回、その白秋の作品を編曲をしようという提案である。
再来年に柳川市で、福岡県学校音楽教育研究大会が開催されことになったことから、柳川をアピールするため、白秋の讃歌を子供たちに歌わせるという。白秋の讃歌というなら、新たに白秋を讃える歌を作るのかと思ったら、「帰去来」、「砂山」、「この道」を編曲するということである。変声期の子供たちにとって歌いやすいようにするのだという。
確かに、編曲とは主旋律を変えずとなっているが、曲調が大きく変わることも有りうるし、編曲者に著作権が発生するという.。それを、市が公費を計上してやるということである。これは看過できない。
その編曲の対象である「帰去来」は、白秋が作曲家信時潔とともに皇紀2600年の奉祝の交声曲「海道東征」を作成した功績で、昭和16年に福岡日日新聞（西日本新聞）から贈られた文化賞を受賞するため、数十年ぶりに帰郷した際に望郷の想いをつづったものである。その作曲も、「海道東征」と同じ信時潔である。
確かに音程の幅が大きく歌いやすくはないが、郷土愛を喚起させるこの曲は歌う毎にしっかり心の中に染みこんでいく。そして、70年近く歌い継がれ、柳川人のみならず多くの人の心に刻み込まれたものである。
「砂山」や「この道」にしても、多くの人に親しまれ、日本の音楽文化を代表する曲であるし、作曲も中山晋平、山田耕作とそうそうたる面々である。
それを、先生たちが指導しにくい、研究大会があるとの理由だけで編曲しよういう。さらに、白秋を敬愛する著名な先生がするというなら分からないでもないが、委託先は教科書出版社、それも見積もりをとって選ぶという。白秋の作品というもの何だと思っているのか。全く話にならない。白秋にゆかりのある人たち、この曲を歌いついで来た人たちが聞いたらなんと思うだろう。伝統文化というものを何だと思っているのか。こんなナンセンスな議案ををなぜ執行部が提案したのか理解できない。
憤っているのは私だけかと思ったら、もう一人長老議員も憤っていた。今日の議案質疑で、私と彼が厳しく執行部を質したわけである。
休憩時間となり、そのやり取りを聞いていた他の議員たちからも、一様に「これは許せん」との声。ここまで反響があるとは思っていなかったが、文化都市柳川市の議員、しっかりと意識を持っているということの証である。勇み足かもしれないが、方向性は固まったと思う。
心配されていた北原白秋関係者に連絡すると、「それは良かった」とホッとしておられた。
ホッとしたのは、もう一人、提案した側にもいるのかもしれない。
１１月３０日 発表？
今日、12月定例議会が開会した。
金子市政となって3回目の定例議会である。石田市政時代は、議会もよく荒れることが多かったが、金子市長となってからは、紛糾することも無いわけではないが、意外と順調に進んでいるといっていいかもしれない。それでも、石田市長時代からの課題も積み残しの状況であり、落ち着いているわけではない。
しかし、市長が誰になろうとも執行部と議会の関係は、予算の提案、執行、人事と執行部主導であり、議会はそれをチェックし、後押しをしたり、歯止めをかけたりするのが役目である。勿論、議員側にも条例などの提案権もあるわけだが、一般的に市長、執行部の動きが軸となるなかで、執行部は議員の動き、思惑には結構神経を使うことも事実である。なぜなら、議会が提案を否決してしまうなら、予算執行も、条例の制定も出来ない。市長の独断先行にならないよう議会が果たす役割は大きいものがある。
そんな関係の中で、議員が執行部の行政運営を質す機会はいろいろとあるわけだが、中でも一般質問は、本会議場で行われ、市民の傍聴あり、インターネットの中継もされているから、議員にとって力の入る見せ場である。一般質問するに当たっては、関係者からの情報収集、資料集め、原稿作成、相当な時間と労力が必要となる。
今回、久しぶりに私も一般質問をすることにしたわけだが、これまでの懸案事項、新たな課題、山積みになった書類をひっくり返しながら、質問原稿の作成をしていると、我が家の奥さんが私の部屋へとお出ましである。
書類と格闘し、鉛筆を走らせる私の姿を見て、「今度の議会で、発表するの？」とおっしゃる。「発表」である。
こちらは執行部と対等に論戦を張るため、「この課題はココを突いてみよう」とか、「こう言えば期待する答弁が引き出せはしないか」と、回らない頭をひねりながらも、議員にとって見せ場の「一般質問」の作戦を練っているところである。それを小学校ではあるまいし「発表」と言われてしまった。それまで集中していたエネルギーは何処へやら、ガクガクと力が抜けてしまった。
政治家の妻にも、色々である。以前このページの「秘書たちの裏話」で紹介した３古賀の奥さん方も色々で、政治には無頓着、人前に顔を出すのも選挙運動も苦手という奥さんもいれば、本人顔負けの挨拶上手の奥さん、頭の切れる奥さんと色々であった。
我が家の奥さんといえば、政治には全く無関心だったらしく、私と結婚して始めて政治の世界を知ったといってもいい。そんな彼女が、議員と結婚したのだから、その覚悟はたいしたものだし、選挙も本当に一生懸命やってくれた。ニュースよりドラマが好きだったテレビも、柳川をはじめ政治のニュースにも注目するようになり、私がいない時に見た情報も教えてくれるようになった。
しかし、考えてみれば、私の議員活動をつぶさにチェックし、私の上を行くような言動をする奥さんであったならば、辟易である。
なるほと一般質問といっても、持論を述べ論陣を張るアピールの場であるのだから、ある意味「発表」なのかもしれない。
そんな奥さんであるが、最近私の挨拶を横で聞いていて、「今日の挨拶は、アッチ行きコッチ行きだった、もう少し簡潔にしたほうがいい」などとドキッとするようなことを言うようになってきた。
「発表でいいから、あの議員の奥さんのようにならないで」。これが本音である。
11月１８日 現代医学と夫婦
今日は、現代医学というものを実感させられる出来事があった。
先日、みやま市の西原市長とお会いしたとき、「Aさんが臓器移植の手術を受けて、入院ている」と聞かされた。Aさんとは、私が秘書になった時からの付き合いだから、かれこれ21年のお付き合いをさせていただいている。
Aさんは、選挙はもとより、個人的にも大変お世話になってきたわけだが、親分肌のAさんは、とにかく気に入った人はとことんまで可愛がる人で、私もよく飲みに連れて行ってもらったものだが、当時は既に糖尿がかなり悪化していたようで、12年前人工透析を受けられることになってしまった。
それからのAさんは、顔色もどす黒くなり、飲むのは勿論のこと、日ごろもめっきり元気が無くなってしまったわけである。それからは、一緒に飲むこともできず、お会いする機会も少なくなってしまった。
そのAさんが、腎臓の臓器移植を受けたとの話に、驚いたことは勿論、これで元気になられるとの期待、拒絶反応は無いのだろうかと、不安感を持ちながら、予定より早期退院したということで、我が家の奥さんとご自宅に見舞いに行った。
ご自宅に到着してまず、「上がらんね」との元気な声、そして、Aさんの顔を見てびっくりである。まず、顔色が色白になっているし、くすみも取れ、肌に艶がある。体調もすこぶるいいらしい。それから、食べ物も、拒絶反応を抑えるための免疫抑制剤のため、生ものや一部の果物を除いて、ほとんどのものを口に出来るらしい。それから、お酒はというと、飲めるようである。
挙げれば限が無いが、これまで12年間の生活とは比べ物にならないくらい自由のようである。Aさんも奥さんも晴れ晴れとした表情であり、私も嬉しくなってしまった。
これまで12年間、食事制限、水分制限など本人が苦しかったことは勿論であるが、奥さんに「食事管理をはじめ、奥さんも大変だったでしょう」とお聞きすると、「本当に、男は好き勝手して、わがままよね、本当に女は大変ですよ」とおっしゃる。
それでも、手術を受けるにあたっては、「本当に治るのか、もしものことがあったらと、直前まで気持ちの整理がつかなかった。でも、ドナーとなっていただく方の、ご好意と決意、それを無駄にしてはいけない、その事を思ったときに決断がついた」ということである。
Aさんも、奥さんの話にジッと聞き入っていらっしゃった。透析以前のこと、透析中のこと、そして今回の手術。私が考えても、奥さんのご主人を支えてきた姿勢には頭が下がる思いであった。
横で同じ話を聞いていた我が家の奥さんは、どう思ったのだろう。
「少しは、奥さんを労わらなければ」。
11月１５日 あの水は何処へ？
前回、白秋祭と掘割と題して書いたが、今年の白秋祭も１１月１日から３日まで盛大に行われた。私も二日目に乗せていただいたが、何度乗っても、夜の掘割で繰り広げられるこの祭は壮観である。
この白秋祭を開催するため、掘割の水の確保に関係者が苦労していると書いたが、そのご苦労の甲斐あって、満々と水を湛えていた掘割から、白秋祭が終わると同時にほとんど水が無くなってしまった。
「あの水は何処に言ったの」と、人々の口々からこぼれる次第である。ほんとに何処に行ったのだろうか。本来、水を溜める目的で掘られたものである。溜まっている水は、夏場ではあるまいし、蒸発してなくなるということはあり得ない。ということは、どこかで海に排水しているということでしか説明がつかない。
では、誰が、どこから海に排水しているのかということになる。関係者に質してみると、皆口ごもってしまう。
そうこうしているうちに、昨日から、柳川観光の新しい試みとてして、「お堀の駅」なるものが出現した。
これまでの川下りは、柳川駅近くの掘割の上流から御花、沖端までを、通しで川下りしていたものを、途中に停船場を設けて、どこでも乗り降りでき、歩いて散策できるというものである。また、普段のコースとは違った、いくつかのコースも用意されている。
ところが、この普段と違うコースは、「あの水は何処へ」ということで、まさしく堀干しのときのように川の底が顔を出していた。どうなることかと思っていたが、天の采配か、先週まとまった雨が降ったため、見事に川下りコースとして復活したわけである。やはり、自然の力は偉大である。
それでも、「あの水は何処にいったの」は、このまま見過ごしていいのだろうか。ここは、腰を据えてことにあたら当たらなければならない。
10月２７日 白秋祭と掘割
白秋祭が近づいてきた。
満々と水を湛える掘割を、百艘を超える提灯を灯した「どんこ船」が列をなして行く様は壮観である。その掘割のあちこちに、琴の演奏あり、ブラスバンド、太鼓、水天宮祭のオランダ囃子あり、能の舞あり、様々な催しが披露され、延々と続くどんこ船の客を飽きさせることが無く、祭に彩りを添える。正に柳川の一大イベントであり、1年のうちでこんなに掘割が注目され、活躍する日は無い。
その掘割であるが、水が無いことには話にならない。掘割には水があるのが当然である。しかし、柳川の掘割には水がほとんど無いことがある。それは、1年に1度水を抜いて川床を陽にさらし、清掃する「堀干し」という行事が行われる。
柳川の掘割は、自然に出来たものではなく、湿地であったところを千年、2千年とかけて、先人が掘りあげた人工のものである。その掘割に水を溜め、生活用水と灌漑用水に活用する。そこで始めて人が住み、営農が可能となったわけである。したがって、掘割とその水は先人にとって命にも代えがたい大切なものであったに違いない。掘割と水なくしてはこの地の歴史は語れないと思う。
そこで、年に1度堀の水を抜いて、掘割に流入した底にたまった泥を取り除いたり、崩れかけた岸を補修したり、1年間活躍した掘割を労う必要があり、掘割の休息期間となるわけである。
近頃、その掘割に水が無いのは掘り干しの時期だけではないことがある。梅雨時は別にして、なたね梅雨や秋雨の時期に雨が少ないと、すぐに川底が顔を出す。そうなると観光名物の川下りも水郷の情緒も台無しとなり、ひどいときは船頭さんが竿をおいて、自ら船を押さなければならないといった始末である。こういう時に、川下りに来た観光客は気の毒である。
その掘割であるが、柳川観光の一大イベントである白秋祭を前にして、数日前までは川底が顔を出しかけていた。しかし、今日あたりからしっかりと水を湛えている。ここ数日で大量の雨が降ったわけではないのにである。
それは、関係者が他の地区の水利関係者に頭を下げ、少しずつ水を回してもらうということと、筑後川からの導水を活用できるためである。筑後川からの導水は柳川市も負担金を払い、権利があり、当然のような気がするが、この導水は農業のためのものであるから、おおぴらには白秋祭のためとは言えないところが苦しいところである。
したがって、この白秋祭は観光関係者をはじめ柳川市の関係者だけではなく、いろんな人たちの協力のもとに成り立っている。持ちつ持たれつであるものの、この借りは近隣との付き合いにも影響しているのだろうか。そんな心配までしてしまう。
しかし何と言っても、地元はもとより全国から訪れたお客さんたちに、柳川ならではの水上でのお祭を堪能し、満足いただくことが何よりである。皆が掘割の存在を確認し、その掘割が主役となる日である。
それでも、白秋祭が終わると多くの人たちで賑わった掘割も、いつもの静かな情景を取り戻す。
しかし、今年は雨が少なかったから筑後の水がめ日向神ダムもすでに空っぽである。おそらく数日前までのように川底が顔を出すに違いない。掘割と水、切っては切れない間柄ではなるが、柳川の場合は別である。この原因はと言うと、長くなるから今日はここまでにする。
10月２０日 有薫
先週の総務委員会の視察の1日目の目的地は埼玉県の志木市で、視察内容は「行政評価システム」。
志木市は全国に先駆けて当時のカリスマ市長が平成13年から導入したということで、かなり成果も上がっているようである。柳川市の場合は、市長のマニフェストでもあったわけだが、今年から導入をはじめ、これからという段階である。今回の視察をもとに、しっかりと見ていきたいと思う。
ちょうど一ヶ月前に民主党政権が誕生したわけであるが、国の1次補正予算の凍結方針が打ち出され、地方自治体の財政への影響も懸念されることから、先の9月議会で、地方財政安定の意見書を議決した。今回の視察地が東京周辺ということもあり、地元民主党議員に会って、「地方財政安定」の意見書を渡そうということになり、せっかくなら会食をし、懇談するということになった。
会食の場は九州料理の店「赤坂有薫」である。「有薫」の名は、城島の酒の銘柄からきているそうだが、赤坂を始め、八重洲、銀座、新橋と多くの店舗を展開する優良店である。
経営者は、城島町出身の高山喜一郎氏。創業したのは父親の亀雄氏、知る人ぞ知る有名人である。
元は久留米で店を出していたのだが、檀一雄をはじめ数々の文人が出入りしていたらしい。そこで、東京に出店したらという誘いを受け、八重洲に出店したのを皮切りに、一代で知る人ぞ知る「有薫」を築いた人である。御年96歳、いまだに現役で店にも出られるようである。有名人であろうが一般客であろうが「九州弁」で会話をされ、亀雄さんと会って会話を楽しみながら酒を酌み交わすのが、一つの魅力となっている。
有明海料理をはじめ九州各地の名産が味わえるということで、私もお客さんを良く連れて行ったものである。それは東京の人だけではなく、地元からのお客さんも連れて行った。「九州から来た人に九州の料理とは」となってしまいそうであるが、意に反して皆喜んでいただいた。それは、飾らない店の雰囲気、高山さんをはじめ店のスタッフの接客、料理、そういったものが相まって「有薫」の持つ魅力であったと思う。
話は長くなったが、地元代議士との席も盛り上がり、せっかくだからと私の元オヤジが亀雄さんを呼ぼうと言い出して、息子さんが呼んでくれたのである。そこで宴席も盛り上がったわけであるが、高山さん曰く「柳川市の観光大使になっているが、ほとんど連絡は来ない」とのこと。そこで議員一同「それでは名ばかりではないか。こんな失礼なことはない、けしからん」ということになったわけであるが、後日、市の担当に確認したところ、白秋祭の案内や情報発信はしているとこのこと、どちらが正しいのかここでは詮索しないことにする。
高山さんは、いまでも故郷を年に数回は訪れ、老人ホームに差し入れをしたり、講演を行ったり、文化行事に出席されたりしている。
城島町の出身ではあるが、柳川市との縁も深い。まずは交流の深かった作家檀一雄かもしれない。そして「有薫」で出される有明海の食材は沖端・中島で水揚げされたものが空輸されている。
そして、高山さんの小学校の恩師は、元柳川市長の古賀杉夫先生である。杉夫先生が、満州から引き上げ、国の役人になる前の一時期、小学校で代用教員をされていたらしいが、高山さんはその時の生徒である。交流が続き、特に市長となってからが交流が深かったようで、柳川との縁も更に深くなったことと思う。
柳川に縁の有る方々、それは先輩たちが築いてくれたものも少なくない。そこには数々のドラマがあったことと思う。そういうものを語り継いでいかなければならないと思う。柳川市の観光大使は15人であるという。それぞれに柳川との縁の物語があるに違いない。名ばかりになっていないか検証しなくてはならない。
10月17日 国の言うなり？
今週は、14日の水曜日から3日間総務委員会の視察で家を留守にした。
視察先でも新聞は読んでいたものの、改めて溜まった新聞に目を通したのだが、1面2面のほとんどが来年度予算の概算要求など鳩山政権の話題満載、テレビのワイドショーにしても然りである。それにしても、来年度予算の概算要求額が95兆円とは驚いてしまった。自公政権下での今年度の額が86兆円である。9兆円も上回っている。徹底的に無駄を省くとしていた民主党である。八ツ場ダム・川辺川ダムの中止などを立て続けに打ち出したものの、全体から言うと僅かな額である。大鉈を振るうといても継続している事業には手をつけられないし、高速道路無料化、子供手当てなど多額な事業費を伴うマニフェストも盛り込まれている。ここからどう削り込んでいくのか見ものである。
その中で、我々地方自治体にも影響を与えるものもある。前麻生内閣の1次補正に盛り込まれた子育て応援特別手当である。柳川市でも、先の9月議会で可決し、支給に向けて準備に入っていた矢先である。私も「議会報告」で市民の皆さんにもお知らせ済みである。3歳から6歳の子供を持つ家庭にとっては空手形となってしまい残念な思いをされていると思う。自治体によっては支給を開始したり、市が負担して支給をするところもあるようである。親御さんだけではなく、地方自治体にも大きな混乱を与えている。
9月17日の「政権交代」でも書いたが、行政には継続の原則がある。ましてや地方議会でも議決までしているのである。憤りさえ感じる。それに、現在編集作業の続いてる市議会の「議会だより」にも、この記事を掲載している。この記事も修正しなくてはならない。政権交代、管副総理に言わせれば、明治維新、戦後につづく大転換期であるという。そうかもしれない。しかし、国民も、地方自治体も鳩山内閣が打ち出す政策を黙って指を加えたまま受け入れなけらばならないのだろうか。
その大転換は始まったばかりである。これはまだまだ序章であり。これから、国民はもとより、地方自治体も巻き込んだ混乱？改革？次の時代？が始まるのだと思う。
10月２日 末恐ろしいマニフェスト
９月議会も先月の２５日で終了したわけであるが、あっという間に総選挙から１ヶ月が経過したことになる。
新聞テレビは、鳩山総理の外交デビュー、八ツ場ダム、川辺川ダム建設中止、事業停止による財源捻出、天下りの中止などなど、その報道振りは常に紙面のトップを飾っているのに対し、かつての政権党自民党ばｊ総裁選も２面、３面扱いである。
それにしても、これからの民主党政権、脱官僚、これまでの政・官・業の癒着を断ち切り、政治主導で政権運営をしていくという。今年度の補正予算の減額査定、来年度予算要求にしても、各大臣に対し予算要求大臣ではなく、査定大臣になれとのことである。１７日のこのページに書いたように、予算要求もこれまでのように前例踏襲の積み上げでは無く、事業の説得力が必要となる。のんべんだらりとこれまで同様予算をお願いしますでは通らなくなってきた。霞ヶ関官僚も含め地方自治体も巻き込み、それぞれが頭を１２０％活用しなくてはならなくなってきた。そういう効果は悪いことではないと思うが、それが普通となるまでの過渡期は様々な軋轢、特に地方自治体、関係者への影響が懸念される。
しかしである。冒頭書いたように華々しい報道が目立っているが、そういったものに隠れ、日本がとってとんでもない方向へと行きそうな法律案の準備が着々と進んでいる。
外国人参政権、夫婦別姓、人権擁護法案等々、中身は改めて書くとして、日本が解体しそうなものばかりである。マスコミももっと踏み込んでこういうものを取り上げてほしいものである。
それともう一つ、東アジア共同体。民主党マニフェストの目玉だそうである。中国、韓国、東南アジアと通貨統一をはじめ人と物の往来を自由にするというヨーロッパのEUのアジア版を作るという。
しかしである。EUは、宗教も、政治思想、政治体制も大差がない国同士である。宗教も政治思想も政治体制もまったく異なる国と、人と物が自由に往来できるようになるなど恐ろしい気がする。
国が外国製武器のコピーを自国製と偽って平気で輸出する。言論の自由もない、氾濫分子を武器を持って押さえ込まないとならないような国、他人の土地を自分の土地だと平気で言い出し、いつの間にか我が物顔で占有をするような国、国民が自国製品を危ないといって出来るだけ外国製品を買うような国、道徳心を疑うような国民性の人たちが我が物顔で闊歩する。そんなことになったらどうなるのだろうか。
身近なところで例えて言うなら、親戚同士や仲のいい家族ぐるみの友達では、お互いの家に自由に出入りすることもあるだろう。しかし、超えてはならない所は互いが心得ているし、遠慮するものである。それは、互いに気心が知れているし、相手を信頼しているし、何よりしっかりとした道徳心を備えている者同士だからである。
しかし、何を考えているのか信用できないような人たち、偽物を公然と販売するような厚顔無恥の人たち、日本のヤクザモ恐れるような人たち、人の土地を無断で占有してくるような人たち、そんな人たちが、わがもの顔でズカズカと自分の家に自由に入ってこられたらどうだろう。
乱暴な例えとなったかもしれないが、当たらずとも遠からじだと思う。末恐ろしい。
９月２９日 生垣のない武家屋敷
この柳川日和で何度も取り上げ、市議会でも議論となった武家屋敷である渡辺邸がついに売りに出されてしまった。売りに出されたといっても、全部ではない。敷地の一部で、屋敷は残るようである。
しかし、敷地の一部といっても川下りコースからも見える南側の道路に面した部分である。従って、落ち着いた景観を作っていた生垣が無くなることになった。いや既に無くなっていた。見るも無残な状況である。これでは台無しである。あの奥州町の由布邸にしても、庭が更地にされ、ぽつんとある建物だけの姿は、なんとも味気ない。
所有者は、当初から残したい一心であった。手放さざるを得ない事情もあったのだろうから、仕方が無いことではあるが、どうせなら裏側に同じ広さの区画もあったのにと思ってしまう。市当局も何とかできないものか手を尽くしてくれたようだが、徒労に終わったようである。
しつこいようだが、それにしても残念である。というのも、私が関わったあるいきさつがあったからである。
大川に、ある街興しグループがあるのだが、彼らは様々な活動を行っている。柳川藩と久留米藩の境に旧肥後街道があるが、そこは家具職人の町の風情を残しており、そこでイベントをやったり、地域一帯の街並み整備の活動をしたり、筑後川で環境活動をしたり、その活動振りは新聞でも報道されている。
私にとって旧知の間柄であるそのグループの代表に、渡辺邸が売りに出され更地になってしまうことになりそうだから、誰か保存を前提に購入してくれる人がいないものかと相談をした。彼は早速動いてくれ、購入者を見つけてくれたのである。
その人はそのグループの一員で、そのまま残し、料理屋と大川民芸家具の展示施設として利用すると言ってくれた。その主要メンバーと市の担当者をひき合わせ、補修費用を捻出するための文化財指定の手順など打ち合わせも行った。話はとんとん拍子で、銀行にも話をして購入資金も用意するという。これで、市にも財政負担をかけずに保存できると、私は勿論のこと保存のための署名運動をしてくれた人たちを始め、関係した人たちの期待と喜びもひとしおであった。しかし、結果から言うとこの話は立ち消えになり、実現しなかった。
その後は、武家屋敷保存を公約とした新市長が保存調査に着手してくれたため、光が見えかけていた矢先の出来事である。なんとも残念な話である。
繰り返しになるが、こんなことになる位なら、あの話が進んでいたならと、悔やむことしきりである。「〇〇〇の無いコーヒーなんて」というテレビCMがあったが、「生垣の無い武家屋敷なんて」である。
９月17日 政権交代
8月30日の衆議院総選挙後、息つく暇もなく9月2日に開会した市議会9月定例会も、昨日決算審査が終了し、後は25日の採決を残すのみとなった。
時を同じくして昨日は、衆議院総選挙後初の特別国会が行われ、民主党鳩山内閣が発足した。ニュース、ワイドショーでは、話題の民主党の1年生議員の初登院、鳩山総理の指名、閣僚の会見など、この話題で埋め尽くされていた。
これから政権の中枢を担う新閣僚の引き締まった顔のなかで、一人だけにやけていた人がいたのが印象的であった。
反面自民党の報道は対照的であった。険しい表情、暗い顔、さばさばした顔、いろんな表情が映し出されていた。それにつけても、民主党の新人議員がことさら露出が大きかった。上京し、議員会館への入居、驚きと、緊張の中にも笑顔が絶えなかった。
しかし考えてみると、この光景は、4年前の郵政選挙で誕生した小泉チルドレンたちと重なる。マスコミが多くの新人議員をクローズアップし、もてはやした。しかし、その人たちのほとんどが今回の選挙で落選した。次の選挙の結果を占うのは気が早いが、今までとは違う政治家主導の政権運営をするという。その舵取り次第というところもあろう。同時に、自民党がどう立ち直るのか、今回のように相手のチョンボを待っているようでは情けなさ過ぎる。しっかりと保守本流としての姿を見せてほしいものである。
民主党は、徹底的に無駄をなくし、国民目線の政策を実行するという。執行中の事業の中止も行うという。不必要な事業の見直しや役人の役人による役人のための予算執行などとんでもない話であるが、役所、地方自治体ををすっ飛ばして、直接国民受けするようなやり方はどんなものかと思う。
今年度の国の1次補正予算の凍結、執行停止などその象徴である。地方はその流れの中で動いており、突然政権が変わり、方針が変わったからと言って、それを見込んで事業を計画している地方自治体はたまったものではない。
市町村においては、市町村長が変われば、方針も変わる、人事も変わる。予算の使い方も変わる。しかし、行政というものは、継続である。市町村長が変わったとしても、前から継続していた事業は多少の変更などがあるものの、継続される。当然である。それは、直接市民生活、市民に大きく影響するからである。そういう意味で、選挙中のマニフェストも結構だが、現実的になってほしいものである。
今回の政権交代、民主党の政治主導の政権運営は、日本が近代国家として歩みだし築かれた官主導という明治以来の手法を変えるという大転換ということである。それは、国民を始め、経済界、諸外国に大きな波紋を投げかけている。しかし今回、国民はそれを選んだわけであるが、それは、すべてを肯定したことではないということを肝に銘じていただきたい。私たち国民もしっかりとそこのところを監視しながら、ここぞという時は声を出さなくてはならないと思う。
なぜなら、政治家が一番怖いのは、1票を持っている国民だからである。
号外 亀の産卵シーン
読者から、8月3日のページでご紹介した亀の産卵シーンが見たいとのご意見をいただいたので、掲載させていただく。
うまく撮れていないが、右の写真の亀が押しやって倒れかけているのが、我が家の奥さんが可愛がっていた花。根こそぎである。
しかし、この後植えなおしたら元気になったので奥さんもホッと安心。
９月４日 飲ませ食わせ
選挙も終わり、そろそろ新聞に選挙違反検挙の記事が出だした。供応、買収と相変わらず昔と何ら変わっていない。まさしく金で票を買うということが現実に行われている。
私が秘書として初めて選挙を経験した20年ほど前は、飲ませ食わせは当たり前であった。あるグループがバス旅行となると、すかさずジュースやらビールを差し入れる。どこかで、お祭りがあると聞くと、酒２〜3本を目立つように名前入りのノシつきで差し入れる。お世話を掛けると、飲食店でお接待。また、後援会の集まりでは、飲食を伴うにしても会費をとるなど言語道断であった。「応援をさせといて、金まで払わせるのか」と叱られたものである。
また、選挙事務所を梯子して飲んで回ったりということは見かけなくなっていたが、それでも酒を要求する者も少なくなかった。、数百票持っているから買わないかと持ちかけてくる者がいたり、今から考えると、とんでもない時代であった。選挙ともなると、酒屋を始め飲食店、食料品店は特需に沸いていたものである。
当選ともなると、選挙事務所には、当選の報とともに次々と支援者のみならず、便乗組みも入り乱れ、樽が割られ振舞われたものである。当選祝いの品々も次々と運び込まれ、事務所の倉庫には酒が数百本で入りきれないといった有様であった。正に、お祭りであった。
そういった派手なことが許された時代、従って選挙に立候補する人たちは、相当の出費の覚悟をしなくてはならず、選挙のたびに田んぼが1枚ずつ無くなっていく、家が抵当に入れられるということが現実の時代であった。
しかし、時代も変わり、取り締まりも厳しくなり、有権者の意識も変わってきた。選挙事務所で酒を振舞うなどとんでもなく、それを当てにした選挙事務所を梯子するということも無くなった。飲食を伴う後援会の集まりでは、実費をとるのは当たり前となってきた。ある選挙では、アルバイトに電話や選挙運動をさせたため逮捕されたり、以前では見逃されていたようなものまで検挙の対象となってきており、選挙をするほうににとっても相当神経も使うようになってきた。
そんな状況にあっても、金に任せて票を集める選挙が行われている。ご馳走になるどころか、要求する輩もまだいるようである。
そんなことは、選挙に携わるなかでも一部の人種だけのことかと思っていた。
しかしである。今日、ある上場企業での40前後の女性たちの会話、「飲ませ食わせは誰でもやっていることでしょう。」「そういうことをしなきゃ誰が応援するというの?」。これが実情なのか。絶句してしまった。
９月１日 祭りの後
長い夏の選挙が終わった。
8月2日事務所開きから1ヶ月である。結果は、55年体勢の終焉となり、民主党政権が誕生することとなった。全国各地で、自民党、公明党の大物議員の落選が伝えられた。
しかし、民主党の私のオヤジは、小選挙区では敗れ、比例での復活当選となった。議員バッジを引き続きつけることになったわけだが、やはり、小選挙区で負けたことは事実であり、残念である。
ここ1ヶ月選挙事務所に缶詰であった。疲れと寝不足はピークを過ぎ、麻痺している。２、３日ゆっくりと温泉にでもつかって疲れを癒したいところであるが、間髪いれず市議会定例会である。今月いっぱいは、ゆっくりできそうにない。
しかし、今回の選挙を振り返ってみると、前回以上に国民の関心が高かった。多くの国民が注目し、候補者たちも今までにない労力の要る選挙だったと思う。自民党の大物議員でさえ、まさに「どぶ板」、この暑い中を一軒一軒這いずり回る光景が報道されていた。それは、候補者だけではなく、支援者も同様である。そのエネルギーの総量はすさまじいものである。そして、審判の日、そのエネルギー消費の結果が出た。当選であれば、報われもするが、落選であればやり場のないうっぷんがたまるということになる。前回の郵政選挙で自民党が大勝し、多くの民主党議員が落選した。この4年前の鬱積が晴れるようにほとんどが返り咲いた形となった。そうなると、4年後はまた、逆の形となるのであろうか。
それと、今回の選挙で気になることがある。小泉チルドレンではないが、今回多くの〇〇チルドレンが誕生した。政治の世界で1年生の彼らが、即戦力として代議士としての意思と見識を持って働けるのだろうか。自分の親分の言いなりにならないだろうか、心配である。
また、昨年来世界的な金融危機に連動して、景気低迷、雇用不安、消費の落ち込み、少子化、高齢者福祉、様々な問題が噴き出すように顕在化した。それに呼応するように各党のマニフェストには、子供手当て、医療費助成、所得補償、授業料支援などなど、耳後心地のいい言葉が並んだ。国民受けするような言葉のオンパレード、サービスの大安売りである。そして、それを煽るマスコミ、なんとも情けない様相である。
私は、マニフェスト選挙を批判するつもりはない。数値目標を示して、各党はその達成に努力し、国民はしっかりとチェックをする。もっともなことである。しかし、国民受けする数値目標だけでいいのだろうか、もっと国の根幹、日本の目指すべき姿、国家としての基本理念そういったものがなおざりにされているように感じる。マスコミもそういったことをまったく取り上げない。
それは、国政選挙だけではない。地方選挙においても、市長、議員の給与カット、税金の引き下げ、目新しい事業など人気取り的なことが目立つように感じる。それより、町の進むべき道、将来の姿、そういったものを指し示すべきではないだろうか。国民、市民の人気取りの政治が横行してしまっていいのだろうか。そこに危機感を感じる。
私も、地方議員の端くれではあるが、そういったものをしっかりと念頭において働いていかなくてはならない。
ところで、1ヶ月活躍した選挙事務所も、選挙終了と同時に閉鎖である。昨日まで、人が寄りエネルギーがほとばしっていたのに、来る人もほとんどなないなか、机、イス、コピー、台所用品が片付けられていく、だだっ広い空間となる。毎度のことであるが、祭りの後の寂しさである。昨日まで、昼夜なしに選挙に携わっていた人も、それぞれの日常に戻っていく。
私も同様である。明日から市議会議員として定例会に臨まなくてはならない。
後片付けも一段落し自宅への帰り道、昨日までとは打って変わって風景を見る余裕も出てきた。気がつくと、1ヶ月前にはその丈をどんどん伸ばしていた田んぼの稲に、穂が出ていた。自然は、世間の動きに関わらず着々と季節をすすめている。
８月３日 産卵
梅雨が明けぬまま8月となってしまった。7月下旬、記録的な豪雨となり、柳川市にも農業被害をもたらした。それでも、ここの所まとまった雨もなく、暑い日が続いている。
8月１日、２日に、柳川市では恒例の水の祭典が開催された。ソーラーボートを始め、掘割を利用した柳川ならではのイベントである。多くの人で賑わったようであるが、私は初当選した平成15年以来行ったことがない。というのも、必ずといっていいほど、8月1日前後は用事が入るからである。
今年はと言うと、選挙である。私が秘書をしていたオヤジの選挙である。これから8月30日まで、選挙事務所に缶詰の毎日となる。
そんな中、日曜日の事務所開きも終了し、ホッと一息、気分転換も兼ねてこのページを書いている。話題はというと、選挙ではない。自然の話である。自然といっても極々小さな出来事ではある。しかし、珍しい出来事である。
もったいぶってしまったが、７月のある休日、朝食を終え、洗濯物を干していた我が家の奥さんが、新聞を読んでいた私を慌てて呼びにきた。説明するのもまどろっこしい位、興奮している。外に出てみると、玄関口の花壇の中に大きな黒い物体、よく見てみると亀である。２０ｃｍ以上はある親亀である。体を上下させながら、後ろ足を盛んに動かしている。その足元を見てみるとポッカリと直径５ｃｍほどの穴があり、その奥には小さな卵。
そうである。我が家の庭で亀が産卵の最中であった。不器用な動きながら、上手いこと穴を掘るものである。深さは２０ｃｍ程もある。その奥の卵はまだ一つ二つしかない。これから本番といったタイミングで、人間が現れたものだから、彼もどうしたものかと、ジッと動かなくなってしまった。そこで、彼を刺激しないようにソットその場を離れたわけである。
亀の産卵シーンというと、海亀の産卵はテレビで見たことはあったが、内陸の亀どころかこの目で見るのは初めてである。ある意味感動ものである。
そこで、思い出したことがある。昨年のこの季節、朝玄関のドアを開けると、同じ花壇にヘビがトグロを巻いていた。私の姿に驚いて一目散に逃げていったのだが、その跡には小さな白い卵が土の中から顔を出していた。我が家の奥さんが、「ヘビが生まれて出てきたらどうする」と言うので、全て潰してしまった。知人に話すと、「それはヘビが卵を食べにきていた」のだと言われたのだが、確信は持てなかった。しかし、今回のことで、やはり亀の卵だったようである。かわいそうな事をしてしまったと反省しきり、落ち込んでしった。
最近、柳川の掘割は、ブラックバス、ブルーギル、ミドリ亀、ジャンボタニシと、外来種が席巻している。生態系を壊すと言われる厄介者である。しかし、皆人間の都合で連れてこられたものである。この亀は頭の模様から言ってミドリ亀か、それとも在来種との混血か。そんなことより、去年のこともあるし、産卵している姿を見ていると、とても卵を潰す気にはなれないのも道理である。。
それから、しばらくしてから様子を見に行くと、亀は去っており、その跡はきれいに元のまま整地されていた。器用なものだなあと二人で感心しきりである。
しかし、我が家の奥さんは憮然としている。彼女が買ってきて植え込んだ可愛らしい花が根こそぎ脇に掘り出されていたからである。それでも彼女は、卵を産んだ場所を避けて植え替えていた。
7月２９日 家というもの
一月近くページの更新をしなかったため、多くの方から催促を受けてしまった。
6月議会終了後、立て続けに叔父と叔母の訃報、衆議院解散と事務所開設準備などで慌しかったわけで、決してサボっていたわけではないので、アシカラズ。
誰にとっても両親、家族はもとより近親者が逝ってしまうということは悲しい出来事である。子供や自分たちより若い世代の急逝に言葉もないことは間違いないが、普通は歳の順にあの世へ旅立つのが通例である。
あの世へ旅立った叔父と叔母、私にとっては祖父祖母ほど歳が離れていており、物心付いたころから可愛がってもらい、実の祖父祖母を知らない私にとっては、正に「じいちゃん、ばあちゃん」の存在であった。
ちょうど私が物心がついてから小学生時代、その叔父叔母は50歳くらいではなかったか。自分自身がその年代となってしまった。社会のなかで正に中堅の年代である。責任のある世代である。
それでも、幾つになろうが両親、叔父叔母というものは頼れる存在であり、心の支えである。その存在がいなくなるということは、なんとも寂しく不安感を覚える。しかし、その叔父叔母であっても、誰しもが、経験することであろう。頼れる存在をなくす中で、一家の大黒柱としての責任を自覚し、自立し、懸命に生きてきたのだろう。
それを自分に置き換えてみると、なんとも頼りない。もっとしっかりせねばと改めて痛感させられる機会となったわけである。
そんなことを考えながらも、通夜、葬儀、初七日の法要を済ませ、一族郎党うち揃い精進あげともなるとなり、アルコールも入り、故人にまつわる思い出話に始まり、正に泣き笑いの宴席となる。
個人の自由と権利が大手を振って歩く時代である。隣の人ぞ何する人ぞどころか、若者が職を無くし、誰に頼ることもなく孤独死をする時代である。親子供、祖父祖母が一つの家に暮らすことが珍しい時代である。個人主義が横行し、家族の崩壊が叫ばれている時代である。
本来家というものは、一つの家族を指すだけでなく、一族をも意味する。そういう時代にあって、一族郎党が事あるごとに寄り集い、その絆を深め、世代交代と責任を確認する。皆が一族という家に集う。その一員であるということは幸せなことである。
7月3日 無難なスタート
今週の火曜日6月30日で6月定例議会が終了した。
会議自体は終了したわけだが、私の場合は何度もご紹介したとおり、議会報告を作成し、封筒詰めをし、配布をして終了ということになる。同時に、市議会で発行している「議会だより」の編集作業も残っているのである。
それはさて置き、今回の議会は、金子市政スタートの議会であった。これまでのような、市長と議員が対立し、怒声が飛かうことはなかった。多少紛糾する場面はあったものの、無難な出だしといったところか。
今回の議会は、これまでの4年間のことももあり、初日の傍聴席は、市民の皆さんで満員であった。市長もかなり力もはいり、かなり緊張の面持ちであった。それは当然かもしれない。元市長派議員から、挑発を受け、声高になる場面もあったが、日が経つにつれ、落ち着きを見せてきた。
マニフェストを含む予算も全員賛成ではなかったが、可決し、ほっと一息といったところかと思いきや、終了後の懇親会で、「無事終了し、ホッとされているでしょう」と問いかけると、「いえいえ、これからです」との返事。腹も据わっているようである。
そんな中、人事異動が発表された。それも今年の4月に移動になったばかりの部長も含まれている。これには驚いた。ある記者曰く「金子市長も温厚そうにしているけれども、やることはやるものだ」との評であった。
市長が変われば、当然人事も変わるのが通例である。自分の政策遂行に都合のいい人材を配置するのは当然かもしれない。しかし、市長は選挙が終わればノーサイドと言っていた。人事は別と言うことか。
しかし、今回の中で、残念に思うものもあった。柳川市の厳しい財政状況のなか、将来の財政展望をしっかりと把握しながら、積み残しの事業とマニフェストをバランスよく実行していくのは大変なことである。これまでの働きとその気概を評価していた人だけに残念である。
随分昔の話だが、私の上司だった人が会社を去るとき私に言ったことがある。「組織というのは、その組織にとって無くてはならないような人がいたとして、その人がいないと廻らないように思うが、その人がいなくなっても廻っていくものである」という言葉を思い出す。それはそうだと思うが、それでもその穴埋めが大変であることは事実である。
無難なスタートを切った金子市政。しかし、元市長派議員達はマニフェスト予算に反対した。今後、総合運動公園、固定資産税の引き下げ、市民を巻き込んだ議論となる可能性もある。政治倫理条例違反で辞職勧告を受けている議員の問題も棚上げのままである。
ましてや、この時代厳しい財政を抱える地方自治体の舵取りは並大抵ではない。山あり谷ありである。これからの4年間、柳川にとって重要な4年間。期待と厳しい目を持って見ていきたい。