８月２６日（日） 被災地の姿
先週、総務常任委員会の行政視察で岩手県の盛岡市と遠野市に行ってきた。目的は、「自治体経営」と「防災」についてである。当初は、7月17日からの予定であったが、7月14日の水害で延期していたわけである。
岩手県といえば、昨年の東日本大震災で大きな被害を受け、1年経った今でもその復旧、復興は未だ道半ばであり、最近はマスコミの取り上げる頻度は低くなったとは言え、ガレキ処理やら福島原発、放射の汚染やら1年経って新たに解明された事柄など、国民の関心度はまだまだ高い状況である。
そこで、防災を所管する総務委員会としても、震災対策に学ぶべきところが多々あるに違いないということで、被災地である東北地方を目的地に選んだわけである。視察と言っても、いろんな物を見て回るのではなく、視察地の自治体が全国的にも先進的に取り組んでいる政策について説明を受け、今後の柳川市の政策に生かしていこうというのが目的である。したがって、まさか復旧復興で忙しい被災地の自治体へ行くわけにも行かず、被災地の後方支援の拠点となった「遠野市」を選んだわけである。遠野市は岩手県のほぼ中央部に位置しており、三陸海岸沿岸へ3つのルートがあるため、後方支援の拠点として施設整備を行っている最中に震災が発生し、自衛隊やら補給物資の供給基地、そしてボラティア派遣の拠点ともなり、大きな役割を果たしたようである。
これ以上詳細は省略させていただくとして、私たち委員のもうひとつの目的は、被災地をこの目で直に見ることである。したがってその日の宿泊も被災地にしたのだが、復興のさなか我々のようなただ見るだけの者が果たして行っていいものだろか。夕食を取る場所があるだろうか、ただ泊まるまるだけでいいのだろうかと不安感を持っていたのだが、遠野市の職員がポツリと言った「ここでも震度5強の揺れで、市庁舎の1階部分が潰れたりと被害も少なくなかったが、三陸沿岸に比べれば対した被害ではない。ここと沿岸地帯ではまるっきり雰囲気が違いますよ」との言葉は、我々を更に不安にさせてくれた。
遠野市を立ち、一路三陸海岸を目指したわけだが、陸前高田市に近づいてくると、山の谷間を走る県道沿いに仮設住宅が目立ってきて、陸前高田市に入り目の前の視界が広がると将にだだっ広い平地が目に飛び込んできた。そしてあちこちに４～５階建ての建物くらい高さはありそうなガレキの山が続きパワーショベルが忙しく動き回っている。道路沿いには、ポツンポツンとプレハブ建てのスーパー、銀行、コンビニが営業している。そして道路沿いの平地と思われた場所は、よく見ると建物の基礎のコンクリートが残っている。そうである。被災する前は住宅やら建物が並んだ市街地であったのである。被災直後の情景、そして建物もなく、平地となったこの情景、そして建物だったであろうガレキの山々。テレビではよく目にする光景であったが、実際この目で見てみると、愕然となってしまった。言葉が出てこない。胸が熱くなってくる。説明のしようのない感情を経験した。ほかの委員の面々も嘆きともため息ともつかない声を上げていた。
そして、道路から海沿いを見ると一本高い木がポツンと立っている。そう、あの「奇跡の一本松」である。枯れてしまったというが海を背景に凛として立つ姿は、被災地の皆さんに力を与えたことも頷ける力強さであった。心の中で手を合わさずにはいられなかった。
それから、海岸沿いに北へと向かい、釜石市、大槌町と見て回らせていただいた。被災を受けた方々に配慮し、車からはほとんど降りず車窓から見させて頂いたが、ガレキ処理が進まず全国的に受け入れが難航するなか、ある国会議員が「被災地を自分の目で見てください」と訴えていたが、正しくである。この情景を見るならば、ガレキ受け入れを反対などできるはずがないと思う。そして、我が柳川市も終末処理場をもたないとは言え、少しでも受け入れるべきである。
そして、この日は釜石市で宿泊したわけだが、そのビジネスホテルも１階部分はすべて浸かってしまったらしい。更に夕食をした居酒屋も２階まで水に浸かり、経営者夫婦はいまだ仮設住宅暮らしだという。しかし、店は結構お客さんで賑わっているし、何より女将さんの明るさはそれまでの沈んだ気持ちと遠慮気味だった私たちを逆に明るくさせてくれた。ここまで一歩一歩進んできた逞しさなのだろうか。宿泊をし、食事をし、お土産を買って少しでも支援になればと思っていたが、逆に力をもらう結果となった。そして、釜石港で水揚げされたという魚は私たちを満足させると同時に、復興の印のように感じられた。
ガレキの山 連なる建物の基礎 奇跡の一本松 被災した大槌町役場
８月５日（日）福岡県と佐賀県の差
あの水害から半月が経過したが、沖端川が決壊し大きな被害を受けた中山地区では、道路などの昨日は回復したものの、住民の皆さんが普段の生活に戻るにはまだまだ時間がかかりそうである。更に、農地やビニールハウスの原状回復にもままならない状況にある。本当に気の遠くなるような思い出はなかろうか。
また、9月からの海苔養殖シーズンを前に、漁船、作業場倉庫、海苔乾燥機械に被害を受けている方々もいるし、中嶋漁港では桟橋やクレーンも被害を受けている。いち早い復旧が求められている。
更に深刻なのが、有明海に流出した木材などである。その量たるや尋常なものではない。国土交通省の船やチャーターされた民間業者の船が回収にあたっているというが、広い海に散乱し浮遊、果ては海底に沈んだものを今月中に回収できるとは思えない。それらの木材などはお隣の佐賀県まで拡散しており、佐賀県では漁民の皆さんが船を出して組織的に回収にあたっているという。燃料代も支給されているという。それに比べ、福岡県側はまだ動きが見られない。公的機関による有明海での魚介類の研究も佐賀県が進んでいるし、こういった場合の対応も早い。
なぜ福岡県が遅いのであろうか。それは被災を受けた漁民の方々もいらっしゃるであろう。海の前に自分たちのことが優先でもあろう。そういう方々は別として、県が、市が、漁連がいち早く動くべきではなかろうか。事は自分たちのことである。ある漁民曰く「自分たちのことなのだから、皆汗を流す準備は出来ている。ましてや海のことを一番知っているのは我々漁民である。民間業者では海底の状況など分からないから、我々が行かないといけない。しかし、広い有明海、一人で行ってもダメなのだから、早く旗を振って欲しい」の言葉が象徴的であった。
加えて、大型ゴミ以上に深刻なのが、海底に堆積した木屑やら様々なゴミである。有明海の海況異変、アサリ・タイラギなどの不漁が続いている。貧酸素状況、富栄養化、海底の環境悪化が問題となっている。その上、これらのゴミが更に環境悪化に影響しないのか、心配される。早急な対応が求められる。
７月２４日（火）災害ボランティア
7月11日から14日かけた大雨により、柳川市はもとより熊本県の阿蘇、大分県竹田、福岡県でもみやま市、八女市、うきは市、朝倉市など大きな被害をもたらした。柳川市でも、沖端川と矢部川が決壊し大きな被害が出て、家の片付けもままならず、元の生活に戻るまでにはまだまだ時間がかかるようである。マスコミも、そういった復旧作業、ボランティアの活動を連日紹介している。
私はというと、まず17日から予定していた市議会の総務常任委員会の視察研修を延期し、全体的な被災状況を見て廻り、決壊現場に近いところに住んでいらっしゃる日ごろお世話になっている方々へのお見舞いと被災状況の確認で飛び回っていた。もちろん保険の仕事もしなければならないし、頼まれ事の対応もこなしながら、忙しい10日間であった。
しかし、各地からボランティアの方々が柳川に入り災害復旧の手伝いに来ているということを聞くと居ても立っても居られない。そこで、やっと一段落の状況になったので、災害復旧のためボランティアをすることにしたのである。
災害時のボランティアは、東日本大震災をはじめ馴染みの深いところとなったが、活動の様子はテレビで見ていたものの私としては初めての経験で、梅雨明けした夏の猛暑のなか体力が心配であったが、行こうと思うとすぐさま行動しないと気が済まない性格、参加させていただくことにしたのである。
そして、ボランティアセンターで手続きを済ませ、福岡から来たという60代のご夫婦と男性一人、柳川市内の女性二人と一組となって指示されたお宅へ行くこととなる。午前と午後で違うお宅の手伝いをさせていただいたが、なんせ家の中、庭先やら、家の廻りに堆積した泥、それも粒子の細かい粘土状の泥で水分を含んでいるので重いし、スコップにこびり付くしで大変であった。汗と泥にまみれながらも終了時間の午後3時まで何とか無事こなすことが出来た。それぞれの家の方からは、感謝もしていただいた。感謝どころか、自分の家がその状況なら、これから家族だけで掃除とかたずけをしなくてはならないと思うと、感謝どころか本当に御気の毒である。
今日一緒になったボランティアのメンバー、福岡から来たという60代のご夫婦、7月17日に続いて2回目とのこと。「1回目はこれくらいではなかった、もっと悲惨な状況だった」そうである。そして、柳川市からの60代の女性も2回目とのこと。もう一人の柳川からの30代の女性は「東北にも行きたかったけど、行けなかったので、柳川だから早く行かなくてはと思っていたけど、やっとこれた」とのこと。恐れいったという感じである。
他にも今日は70名程度のボランティアが参加していたようだが、夏休みに入っている学生の姿が目立つが、４０代、５０代の方々も結構いる。ボランティア、こんなシステムが無かった時代から比べると有難い話である。
そしてこのボランティアセンターは、社会福祉協議会の中にある「柳川市ボランティアセンター」が中心となり、市の職員、応援団体、他市からの応援の方々で運営されているようだが、よく機能しているようであった。中には「こういった時の為に東北大震災の被災地に1カ月間もボランティア活動をしてきた、被災エリアがこれくらいだから良いようなものの、もっと広範囲になった時のために対策を考えなくてはならない」と、何とも頼もしいスタッフもいた。文化活動、地域活性化、遊びなどなど色んな活動をするグループは数多あるが、こういう方が活動をしてもらっているのは有難い限りである。
これからより細かな被災状況、復旧復興、原因調査、そしてこれまでの50年に一度の災害に備えるというのではなく、100年に一度の災害に備える対策が求められる。しかし、同じ柳川市でも被災地域から遠く離れた地域では、何だかのんびりとした空気があることも事実である。同じ柳川市に住む者にとって他人事ではなく、東北大震災の時のように皆が気持ちを向け、助け合おうと行動を起こせば、もっと大きな力となると思うのだが、難しい話だろうか。
などと偉そうなことを書いてしまったが、午前の一軒目のお宅の作業が終わり、昼食の時間となったのだが、私以外の他の5人は全員お弁当持参である。私はというと、何も用意していないことにここで初めて「昼飯をどうしよう」となったのである。考えてみれば東日本大震災でも自動車やテントに泊まりこみ、自炊しながらボランティアをしている光景をテレビで見ていたのに、何としたことか。自動車を走らせ、食堂かコンビニの弁当でと考えていた自分が情けなかった。いくら初心者とは言え、失格である。
しかし、地元の婦人会の方々の炊き出しオニギリをいただくことが出来た。何とも恥ずかしいというか、心づもりの甘さに反省しきりであった。
それでも、炊き出しのお世話をしていた顔見知りの婦人会幹部の方が、「佐々木さん、誰がこのボランティアに来たのか、しっかりチェックしているからね」との言葉で少しは救われただろうか？
７月１５日（日）河川決壊
先週の九州中部に続き、今度は九州北部、筑後地域が大雨で大変な被害が出た。我が柳川市も河川が二箇所も決壊し、大きな被害が出た。それは、柳川市内に水を供給する沖端川の上流部とその本流である矢部川下流部であった。
通常の大雨の時は、地域内に降った雨を市内に張り巡らされている掘割と田んぼで受け止め、それでも足らない時は、上手も下手も少しずつ被り合うことで持たせて、何とか凌ぐというシステムとなっているのだが、最も警戒しなければならない河川の決壊が起こってしまったのである。決壊してしまえばはるか上流域から運ばれてきた大量の水が市内全域に流入することになってしまう。その事が現実となってしまったのである。
今日の時点では、被害の全体像は分からないが、決壊箇所に近い地域はほとんどが家屋の浸水、農作物が被害を受け、自動車やビニールハウスが流されるといった被害も出ているようである。
幸い私の住む地域は、ほとんど被害は出ていないが、大雨、土砂崩れの被害をテレビで見ていて、被災地域の方々が「まさか自分たちが被害に遭うとは思わなかった」という事を思い出す。東日本大震災と福島原発事故で言われた「想定外」、そして「想定外など無い」という言葉に尽きると思う。私も決壊箇所から数キロ離れたところまで押し寄せてくる水、場所によっては低いところめがけて濁流となっている光景を目の当たりにした。その私でさえ恐怖感を覚えたのだから、決壊箇所の近くの人達はどんなに怖かっただろうか。これから、家の中に入った泥の除去をはじめ元の生活に戻られるまで大変だと思う。心からお見舞い申し上げたい。
私の知人も被災された方がいるし、私の火災保険のお客さんにも被災された方がいる。これからお見舞いに行き、その状況確認もしなくてはならない。
これから、被災の状況確認が行われ、被害の全容も明らかになるであろうし、個人の方々の復旧はもとより、災害復旧工事を行わなくてはならない。また農業被害対応など、これからが大変である。
ただ、気になるのは柳川市の防災・水防計画の危険度が低かった箇所もしくは「想定外」の箇所が決壊していることである。この事は改めて検証しなくてはならない。
まずは、被災された方々への心からお見舞いと、まずは災害対応にご尽力いただいた消防団、市職員、行政区長さんをはじめ関係各位、そして陸上自衛隊の皆さんに感謝と敬意を表したい。
７月３日（火）ホワイトハウスからメールが！！
唐突だが、ホワイトハウスからメールが届いた。中身はと言うと、日本海の呼称について韓国が「2000年も前から東海（トンへ）という名前であったのを、日本が日韓併合後に、無理やり日本海に変えた」として、国際会議で「東海」に変更または日本海との併記を求め、更にアメリカ政府に対しても、「東海」と呼ぶように求めていた。更にホワイトハウスに署名を送り運動をしていた。
竹島問題、創氏改名などなど歴史認識問題、、自分たちの都合と利害で何の根拠もないことを言い出すかの国である。これまで、日本政府は否定もせず容認とも受け取れる対応をしてきた。嘘でも常に言い続ける国とそれを否定も反応もしない国、嘘も百回言うと真実になるとの喩えではないが、この「東海」呼称についても、韓国は政府はもとより、国民そして韓国系アメリカ人を総動員して運動してきたのである。
そこで、危機感を持った国会議員をはじめとした有識者たちが立ち上がり、「日本海」呼称の正当性と主張を展開し、ホワイトハウスへの署名運動も行われた。そういう運動が行われていると聞き、これは参加しなくてはと思い、私もホワイトハウスへ署名をメールで送っていたのである。
結果的にアメリカ政府は、「日本海と呼ぶのが米政府の長年の見解」との結論を示したのである。これはマスコミでも報道されたのだが、私にもカートキャンベル国務次官補名で以下の文章がメールで送られてきた。正式な形式で署名していたのだから当然とも思えるが、まさか私にまで正式な回答を送ってくれるとは思ってもいなかったので、感激してしまった。
ところで、今日は雨が降り続いていた。我が家の奥さんは銀行勤めをしているが、午前中は雨の影響で暇だったらしいのだが、午後から雨が上がりお客さんが殺到していたらしい。その勤務を追え、帰宅したとところの彼女に、このホワイトハウスからのメールの話をすると、彼女曰く「どこのホワイトハウス？」ときた。全く取り合おうとはしない。自分の仕事の疲れと、思いもよらぬ「ホワイトハウス」という言葉、まともに信用してはくれなかった。
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６月２０日（水）市職員の自動車事故
６月定例議会の開催中である。審議される議案の中は、一般会計補正予算除けば即決というものがほとんどである。即決というのは、国の法律改正による市の条例の文言整理とか人事案件といったものを委員会で審査されることを省略して議決するものである。
そんな即決議案の中で気になるものがあった。
それは、市の職員が公用車を運転中に起こした自動車事故の損害賠償の件である。事故の内容を簡単に紹介すると公用車で赤の点滅信号の交差点に侵入したところ黄色点滅の本線道路を走行中の自動車に衝突したというものである。点滅信号では勿論黄色信号の方が優先である。赤の方は、一時停止をして左右確認のうえ交差点に侵入しなくてはならない。しかし、黄色の方にも注意義務が有り速度を落として走行しなくてはならないとなっている。保険で言えば、こういうケースの過失割合の基本は「赤８：黄色２」である。そして、相手車とこちらの修理額を相殺し、相手方に５４万円の賠償ということになったというものである。その賠償金と市の車の修理代はいずれも保険から支払われるということである。
内容は以上のようなものであるが、自動車事故は相手があるわけで絶対起こらないとは限らない。こちらがどれだけ注意していても相手が突っ込んでくる場合もあるし、誰しもうっかりとか、不注意というものはある。従って、市の職員も全く事故を起こしてはならないと言うつもりはない。
問題は、事故の多さである。今回の事故で、この１年間で５件目である。いくらなんでも多すぎる。１２月議会では、多くの議員から交通安全の徹底が求められ、執行部も交通安全を徹底し、職員の啓発をはかると陳謝していたのにまたもやである。
こうなると、果たしてどれだけの交通安全指導をしていたのか、形式上のモノだけだったのではないかといった疑念さえ起こってくる。執行部によると公務上のみならず通勤などの交通事故の報告も義務付けし、週一度朝礼で交通安全のための言葉を唱和しているというが、結局効果はあったのかということになる。
保険の仕事をしている私の経験から言わせてもらうと、自動車事故を起こすのは大体同じ人物である。起こす人は数年に一度起こすし、起こさない人は全くと言っていいほど事故はないのである。つまり、運転の仕方、もっと言えば性格的なものに由来するところが大なのである。
そこで、民間会社では従業員の自動車事故抑止のために保険の対物賠償に免責をつけ、免責金額つまり自己負担額を事故を起こした従業員に支払わせるといった方法をとっているところもある。
１２月議会で、私がそういうこともひとつの方法と提案をしたが、受け入れられなかった。また、地方自治体は一般の保険ではなく、全国自治体の共済制度に加入しており、民間保険と違い事故を起こして共済を活用しても翌年に保険料が割増になるはないということである。これまでの事故もすべて共済を活用しており、市の財政からの支出はゼロというととだが、だからといって事故を起こしていいということにはならないのである。
今回は、ほかの議員からも事故を起こした職員に対する処分を検討すべきという声が相次いだが、執行部は「厳しく注意をし交通安全指導を徹底する」との回答に終始した。
そしてついには、「過失の程度が大きい事故を起こした職員に、いくらか制裁金を課すべきでは」という意見も上がった。対して市長は「そんなことをしたら、職員が職務で自動車に乗らなくなってしまう」との答弁であった。
更に、自動車事故だけかと思ったら、市が認定している市民活動グループの提言に対し、回答を作成したまま返答していなかったことも判明した。行政と市民の協働ということがこれからのまちづくりのテーマとなっている中、せっかくの市民の意欲を削いでしまう結果となってしまった。
福岡市の職員の飲酒運転やら不祥事が多発し、福岡市長が外での飲酒禁止やら市三役の減給といった対応策を打ち出した。問題が多発するとき、どう対処するのか方法は色々あると思う。罰則を科す方法もあると思うが、要は職場の雰囲気というか意識の問題が大きいと思う。職員の勤労意欲を削がずに如何に問題発生を防ぐのか、難しいところである。
前にも書いたことがあるが、いろんな企業を訪問したとき、従業員がサッと席を立って対応してくれるところもあれば、こちらに顔を向けるだけで何をしにきたのと誰も対応しようとはしないところもある。その分かれ目は何かというと、その企業のトップの性格と言うか、姿勢が分かれ目である。キビキビとした明るい職場は、訪問して、その対応だけで、こちらが気持ちよくなるものであるし、その本気度にこちらが気圧される雰囲気さえある。組織というものはやはり規律というか姿勢がまず第一ではないだろうか。
６月１日（金）指名停止
インターネット情報によると、柳川市の建設業者2社が福岡県から営業停止と指名停止処分を受けたらしい。その理由はと言うと、県発注の学校の工事を受注した市内業者が別の市内業者に3千万円以上の下請けをさせたというもの。これだけだと別に問題は無さそうだが、建設業者には一般業者と特定業者というものがあり、特定業者は一般業者に比べ技術者の数が一定人数以上必要だったり、自己資本比率をはじめ財務内容が良好など厳しい条件が課せられており、大型事業も受注できるような優良企業が対象となっており、3千万円以上の工事を下請けに出すのも特定業者にしか認められていないらしい。したがって、今回の2社は3千万未満しか下請けに出せない一般業者であったため、この規定に違反したことが原因のようである。更に、この工事に絡み県に提出する建設業者の経営状況を記した審査書類にも誤りがあったらしい。
このことにより、県業法違反ということで30日間の営業停止と3カ月と4カ月の指名停止処分を受けたというものである。これは県のみならず、柳川市も同様の処分を行うことになり、2業者はその処分期間は民間の仕事しかできないということになる。
しかし、今回の処分の対象となった工事は2年前のものである。2年前のものがなんで今ごろとなるが、ある業者の話によると第3者から情報が盛らされたのではということである。真偽のほどは解らないが、長引く景気低迷と公共工事の減少傾向のなかで建設業界も大変な状況らしいし、競争も熾烈であるとも聞く。そういう状況であるから少しでも仕事が欲しいのは誰しも同じことで、営業停止と指名停止となると競争率も下がり誰かが得をすることになり先程の話ということになるのだろう。
今回の話は管工事業者であるが、土木の世界は更に厳しい状況らしい。というのも、公共工事は競争入札によって業者が決められるが、昨年度から入札に参加する全ての業者が同じ額で納札するらしい。最低価格の業者が複数いる場合はくじ引きで決められる。したがって、これまでのようにある程度皆が少しずつ仕事を分かち合ってきていたのが、仕事を採れるか否かは将に運次第ということになっているというのである。これまでの穏やかだった業界が、誰が生き残れるかという戦いの様相となっているという。
建設業界は政治と金にからみ、色々と言われてきた経緯がある。談合も問題とされてきた。対して、談合は仕事を公平に配分できる必要悪のシステムと評価する向きもある。しかし、それを是とすることは出来ないが、地域経済と雇用の一翼を担う業界のことでもある。健全な競争の姿にならないものであろうか。
５月２４日（木）路線バス補助金
昨日の地元新聞に、旧新幹線の筑後船小屋駅と西鉄柳川駅を結ぶ路線バスが小型化され経費節減が図られるとの記事があった。当初平均乗車率を2.4人としていたのに、実際運行してみると0.8人という結果が出たわけである。この路線バス運行経費は、そのほとんどとを関係自治体である柳川市・みやま市・筑後市の補助金で賄われている。柳川市の負担は当初350万円としていたが、乗車率の悪さで700万円となっている。その負担割合は柳川市の路線延長が最も長いことや、柳川への観光客の利便性確保ということで50％であるが、筑後市もみやま市も良く付き合ってくれているものだと思う。
そもそも船小屋駅の乗降客自体が少ないのに路線バスの利用者が少ないのは当然である。地元の利用者は家族や知人のマイカーでの送迎で事足りるし、観光客が来たとしても宿泊するホテルなどが送迎を行っているのでは利用者が少ないのはもっともなことである。
今回の車両の小型化は、60人乗りのバスから26人乗りになるそうであるが、その経費節減効果はと言うと、1日当たり4万2千円から3万9千円となり3千円の経費節減になるという。それを柳川市の負担で言うと40万円程度削減になるとこと予想されるが、年間600万円以上もの財政支出は大きい。
新幹線開業当初の地元の歓迎と期待からすればバス運行もやむを得ない事業とは思うが、地域住民の生活に直結する巡回バスとは違い平均1人も乗っていないバスのために600万円もの支出は高いか安いか、私の知る限り市民の反応は「あんな無駄はない」である。今後、船小屋駅の利用者を増やすことを考えなくてはならないが、これまた新幹線自体が大阪までの直通は1日2本しかないし、駅の地理的立地と背景人口を考えると今後極端に増えるとは考えにくい。駅前に温泉娯楽施設が建設されているが、これまたバス利用で来る人がどれほどであろうか。
あれほど新幹線の駅建設を望み、歓迎した地方自治体としては、「それでは、公共交通廃止」とはなかなか言いにくいであろう。駅建設を強力に推し進めたあの大物の先生にも顔が向けられないのかもしれない。
しかし、先は見えていると思う。柳川市と佐賀空港を結んでいる乗り合いのリムジンみたいに、何か工夫をしないと、西鉄バスに銭をくれているようなものである。
ちなみに、柳川市はこのほかの路線バスに、1462万円（西鉄バス沖新線）、663万円（堀川バス瀬高柳川線）の補助金を負担している。民間会社の言い値とは言わないが、柳川市が走らせているコミュニティバスの路線に関し、西鉄柳川駅には乗り入れてくれるななどと口を出してくるくせに、営業努力をしているのだろうか。私から言わせれば、柳川駅から電車を利用する乗客には乗り継ぎ割引をしたりすれば、バス利用者は増えるはずである。西鉄と西鉄バスはグループ企業なのだから出来なことではないと思う。地方自治体の市民の足確保という立場の弱さに乗っかっているだけに思えるのだが。
５月１３日（日）お遍路
ゴールデンウィークから1週間が経ち、普通の日常の生活に戻ったが、未だに体に疲れがたまっている。その理由はというと4月27日から5月2日までの四国遍路の影響である。今回は5年ぶりのお遍路であったが、帰ってきてから1週間以上経つというのに疲れが取れないのである。5年前は6日間で205.5㎞、1日平均34.25㎞歩いたが、今回は5日間で149.6㎞、1日平均29.9㎞である。前回の方がはるかに多く歩いていたが帰ってきてからも疲れはそれほど残っていなかった。それに比べ今回は1日短く歩いた距離も少ないのにこの疲れの残り方の理由はと考えると、距離だけではなく平坦な道のりだったのか山越えがあったのかということになる。前回は数回は峠越えもあったが、今回は初日からはじまりほとんど毎日のように峠越えが続いた。平地では好調な歩きで前を行く遍路を次々と追い抜くことが出来たが、登りともなると極端にペースが落ち抜かれてしまうことがたびたびであった。如何に普段が運動不足であったかが分かる。そして理由に挙げたくないが、前回歩いた時の年齢が47歳、今回は52歳、やはり年齢の差であろうか。車に頼る生活に慣れた体が、突如10ｋｇもあるザックを担いで毎日30㎞を歩くのだから、体への負担も相当なものであっただろう。
よく聞くことに、運動会や草野球に出て気持ちだけは若い時のままに動くが体が付いてこないというあれであろうか。気持ちは41歳で歩き始めた11年前と変わりは無いのであるが、歩きは出来ていても回復力がそれほど劣化しているということなのかもしれない。
しかし、肝心なのは歩いた距離、疲れというよりも、毎日の目標を立て、そこまで至る過程であり、目標を達成することが大事であったと思う。仕事しかり、生活しかり、順調な歩きもあれば苦難の歩きもある、歩いていて楽しくなることもあるし、辛くて立ち止まりたいこともある、バスに乗っていこうかと思うこともあった。そういう中、道すがら声をかけてくれる人々、お接待いただく方々、店で触れ合った方々、そういう人との触れ合いが力を与えてくれるし、歩く先々で目を楽しませてくれる花々や木々の緑、鳥のさえずり、普段の生活では当たり前に思える自然が息抜きをさせてくれる。
そして、宿に辿り着き、部屋でザックを投げ出し、汗でびしょ濡れになった衣服を脱いだ時の虚脱感というか解放感、風呂に入ったときの恍惚感、そして何より食事のおいしさと幸福感、苦難の歩きがあればこそ体験しうる感覚である。将に日常の人生というか、人の生き様とよく似ているように思う。何故歩くのかと聞かれれば、登山家に「何故山に登るのか」とよく似ているように思う。歩く先に目標があり、その目標に到着した時に感じる達成感と、それ以上の何かがあるように思うからである。
などと達観したような、さも自分が実行できているような、偉そうな事を書いてしまったが、現実はと言うと目先の目標修正をし、すぐ休むし、休む回数は多いし、歩くのは速くても休む回数が多いから追い抜いた人たちに直ぐ追い抜かれる「ウサギとカメの話」のような自分である。遍路にも日常の自分が縮図のように現れるのである。反省、反省しきりである。
５月１１日（金）ガン保険
この柳川日和、長らく更新をしていなかったため多くの方々から催促をいただいていたのだが、3月21日に3月議会が終わり、議会報告配布やら年度、末年度当初の行事、そして私の春の楽しみ山菜採り、などなど忙しい毎日に追われ2ヶ月が経ってしまった。この更新作業も全くサボっていたわけではなく、気になることがあると文章を書いていたのだが、書きかけのまま数日たってしまうと内容に新鮮味が無くなりボツにすることもシバシバであった。
そして何より、ゴールデンウィークを利用して、久しぶりに四国八十八か所のお遍路に行き体力をすり減らして帰ってものだから、全くと言っていいほど何も手につかなかったとわけである。言い訳ばかりを言っているがお許しいただきたい。
ところで、四国遍路の疲れが癒えぬしても仕事はしなければならない。保険の仕事に勤しむなか、ある顧客の満期更新の手続きに行った時のこと。更新手続きも終了し雑談をしていたのだが、お客様が神妙な顔つきになられ「数カ月前から体の調子が良くなかったので、掛かりつけのお医者さんから総合病院を紹介してもらい診察を受けたところガンであることが分かった」というものであった。この顧客は保険のお客様であるだけでなく議員としても大事な方である。その親交の深い方が「ガン」とは私もショックを受けてしまった。お客様は「あんたの所で医療保険に入っていたから良かった」とおっしゃっていただいたから、少しは救われたわけであるが、医療保険は入院一日○○○円の保険金が出るやつである。しかしガンと言えば抗がん剤治療や放射線治療をはじめ治療費は100万円を下らないケースが少なくないし、重量子線治療といった先進医療ともなると200万円、300万円もかかるのである。ご本人は貧乏な方ではないので入院費だけでも足しになるから良かったと仰って下さったが、もっとガン保険を勧めておけばよかったと後悔しきりである。これから入院をして抗がん剤治療を続けられるらしい。お医者さんの見立てでは転移もしていないから抗がん剤治療でガン細胞を小さくしていくとのこと、保険屋としてより私自身にとって大事な方である。本当に治癒され元気なっていただきたい。
保険は何もなければ保険料を支払うだけである。無駄金にも思えてしまう。保険というものは事故が起きて初めて形となるものである。自動車で人を傷つけたり物を壊したり、自宅が火災に遭ったりといった高額の支出を余儀なくされる場合といってもしもの為のための備えである。そして死亡原因の30％であるガンは心理的な負担に加え高額の治療費を要する。従ってガン保険の診断給付金（100万円～300万円）だけは加入しておくようにお勧めする。
ただし保険会社によっては、初期ガンの場合は免責や1割払いであったり、最初の1回目しか保険金が支払われず再発の2度目以降は出ないものもあるからご注意いただきたい。
３月１１日（日）大震災から1年
あの東北大震災からちょうど1年、テレビは朝から震災関係の特番が放送されている。1年前と言えば、3月議会の真っ最中で3月11日は総務常任委員会が行われていた。午後2時半くらいで終了し、庁舎のある部局で職員と話をしていたところある職員の「凄いことが起こっている」との言葉、テレビを付けると何と東北沿岸地帯に津波が押し寄せている画面が映し出されていた。次々と各地で津波が街を襲っている画面、現実に起こっている映像である。そして、津波は東北地方のみならず全国の海岸に来ると予想されている。すぐさま母親と嫁さんに電話し、自宅へ戻りテレビにくぎ付けとなっていたのを思い出す。
そして、今日は東北地方を中心に全国各地で慰霊の為の催しが行われており、そして、天皇皇后両陛下のご臨席のもと行われた政府主催の慰霊式典の様子がテレビで放映された。地震発生の午後2時46分、私も自宅で黙祷を捧げさせていただいた。日本中で、いや世界中の人たちが慰霊の心を捧げたに違いない。東北地方に向け、多くの人たちの心、気持ちが注ぎ込まれたはずである。
復旧復興もいまだ緒に就いたばかりの状況、終息が見えない福島原発、未だ避難生活を強いられている方々、生活苦、農漁業の2次被害、問題は数え上げればきりがないが、あれあから1年被災者の皆さんも一歩一歩前を向いて歩んでこられている。
自分に目を向ければ、あれから当たり前の日常の中で1年が経過した。この1年で何が変わったであろうか、当たり前の日常、不平不満を口にし、惰性で過ごしてきたのではないかと、自責の念に駆られてしまう。
天皇陛下の「国民が被災者に心を寄せ、被災地の改善に努力していくよう期待する」というお言葉ではないが、日々の日常に埋没することなく、あの被災地のことを忘れず、そして自分たちの住む地域のことも念頭に置きながら、時間を大事にして一歩一歩前進していかなくてはならないと自戒することしきりの1日であった。
３月９日（金）対立から協調？
2月29日から始まった3月定例議会も、今日で一般質問が終了し、付託された議案の委員会審査へと場面を移ることになった。
今回の定例議会の目玉は、平成24年度予算審議であるが、平成24年度と言えば金子市長任期最後の1年となる。したがって、来年の市長選挙を意識して、4年間の総決算と言うか、市民へのアピールを意識したものが少なくないように感じる。
その是非は別の機会にするとして、今日の話題はピアス問題である。このピアス問題、平成17年の新市誕生以降、当時の石田市長および市長派議員と反市長派議員の対立の原因となってきた問題である。この件は、旧大和町にあった化粧品会社であるピアス社工場が静岡県の工場に統合になるため、大和町が同工場および土地を購入したわけであるが、議論の的となってきた内容は「その購入価格が相手側の鑑定評価を元にしたため割高な購入金額となっている」、「同工場にはアスベストが使われており、ピアス社と当時の石田町長はその存在を知りながら問題のある工場を購入したのではないか」、「敷地には廃液などが投棄されており、問題のある土地を購入している」、「石田町長はそういった問題を知りながら、ピアス社に便宜を図る売買契約を結んでいるのではないか」等々、石田市長の責任を追及する反市長派議員と石田市長および市長派議員の対立が続いたわけである。
そして、平成21年に石田氏に選挙で勝利した金子市長は、この問題の任期中の解決を約束していたが、その主張は、「ピアス社にアスベスト除去費用と土壌改良の費用全額負担を求める」というもので、ピアス社と協議を重ねてきたわけである。しかし、ピアス社は「法的に費用負担の必要はないが、長年お世話になってきたことから半額なら負担する」という主張で、協議は平行線のままこう着状態となっていた。そこで市は顧問弁護士とも協議し、裁判になるなら勝てる見込みが五分五分であり、その決着までには長年の時間が必要で、土地の有効利用ができない。したがって、今回ピアス社の主張を飲んで和解に応じるという提案がなされているのである。
石田元市長は、「ピアス社がアスベストの危険性を知ったうえ旧大和町に売却をしていたということなら、ピアス社の責任でその除去をしてもらう。その為にもアスベストの除去費用を調査して交渉に臨みたい」としていたのに対し、反市長派議員の主張は、「1円たりとも市の財政負担は許さない、すべてピアス社の負担でアスベスト除去、土壌改良をさせるべき」という一点張りで、石田市長が提案したアスベスト除去費用の調査費を否決し、石田市長の責任問題を追求したため、反市長派議員との間で議会が空転、混乱が続いてきたのである。
対して、金子市長もアスベスト除去費用を把握し、議会と相談しながらピアス社と交渉をしたいということで、昨年アスベスト除去費用の調査費を提案したところ、あの猛烈に反対していた議員たちも含め、あっさりと予算が可決したわけである。そして、除去費用と土壌改良費用も算出されし、今回の和解の提案となったわけであるが、「1円たりとも市の出費は許さない」としてきた議員たちは、「和解案に対し、委員会付託も省略し即決すべき」と態度が一変したのである。
対して、石田元市長を後押しし、苦汁をなめてきた議員たちも、これまでの経緯を殊更問題視するわけでもなく、大人の対応と言うか余りにも物わかりが良すぎるというか、すんなりと議論は終結したのである。石田元市長と元与党議員たちは一心同体、鉄の結束というべき団結力であったのに、もはや石田元市長は過去の人で関係ないということか。そう言えば口もきかなかった議員たち同志が最近は仲がよさそうである。
今回反発しあうのではなく、前を向いた議論となったことは歓迎すべきことではあるが、この問題が持ち上がってから6年余り、あの混乱は何だったのか、これまでの6年半は何だったのであろうか。あの怒号渦巻く議場、反発しあい混乱する議会、それによる市政の停滞、提案する人間が変われば、賛成反対が全く逆になるということか。嫌いな人の提案は反対で、好きな人に変われば態度が逆になるということか。そのことによって費やした6年半は余りにも大きい。
３月４日（日）くもで網完成
1月22日の製作開始から約1カ月半、クモデ網が遂に完成した。
当初は、素人の我々が本当に作ることが出来るのだろうかと、半信半疑ながら製作開始となったわけだが、毎週日曜日毎に集まってはコツコツ作ってきたわけだが、中心メンバーの5～6名に加え、色んな人たちが入れ替わり立ち替わり製作に携わってくれた。「これで本当にいいのか」、「ここはどうしたらいいのか」、「ここはこうすべきでは」と、試行錯誤しながらの作業であった。一日の作業を終えた後の一杯やりながらの反省会では、思いもよらぬグッドアイディアが出ることもあったし、ああではない、こうではないとワイワイやるが一つの楽しみでもあったわけである。
そして、昨日いよいよ櫓に取り付けた4本の支柱に網を取りつけたわけであるが、これまた堀に沈めたときや引き上げたときのバランスなど、支柱の角度やら調整をし昼ごろいよいよ完成となったわけである。
そして、いよいよさっそく網投入となったわけである。引き上げるには思ったより力が要る。入れ替わり立ち替わりメンバーで、沈めては引き上げ、完成したという実感がわいてくる。
ちょうど昨日は、雛祭りの真っ最中の土曜日、川下りの船もひっきりなしに行きかっている。
我々のクモデ網の前に差し掛かると、必ずと言っていいほど船頭さんがクモデ網の何たるかを説明、我々もサービスで網を引き揚げるといった具合である。1時間程度、時間を置きながら10回程度引き上げただけで、なんとハヤ5匹とモロコのような小魚が2匹の収穫となった。
ある魚採りの好きなメンバーは、「雨上がりの水流がある日なら色んな魚が採れる、更に上流に向かって魚道をつくるといい」とのことで、今後益々楽しみが増えそうである。
川下りの観光客のみならず、歩いて廻っている観光客もチラホラ、彼らも興味津津の様子だったので、引かせてあげた。今月中旬にはテレビも取材に来るというから、子供たちに集まってもらい引かせるつもりである。
このクモデ網づくり、作り始めてから、傍からは「何が素人で出来るか」、「堀には魚もいないのに」、「そんなデカイ櫓をつくって」とかいった冷やかな声も聞かれた。黙って横目で成り行きを見ている人たちもいた。逆に、差し入れをしてくれたり、「私も手伝います」という人たちもいたのである。横目で見ていた人たちもいざ完成してみると、「立派なのが出来たね」といってくれた。「我々も引いていいか」という反応も出来てきた。そして完成して、実際魚も採れ、観光客に喜んでもらい、改めてクモデ網を眺めて、皆感慨ひとしおである。
酒の席での盛り上がりから始まった今回の「クモデ網製作」、良いと思ったことは何事もやってみなくては始まらないということである。クダクダと言葉ばかり並べて実行しない輩、評論ばかりする輩がいる反面、ここ数年、色んな人たちが色んな事にチャレンジしている、観光や地域活性化にも成果を上げている。我々もそういった人たちの仲間入りが出来たのかもしれない。
しかし、作るのが目的ではない、これからこのクモデを活用して地域を盛り上げていかなくてはならない。もっと色んな人たちを巻き込んでいかなくてはならない。更に新しい目標に向けてチャレンジしていかなくてはならない。これからである。
最後に、この完成したクモデ網、ほとんど費用をかけずに製作することが出来たわけだが、それには多くの方々の協力があったことは忘れてはならない。まずは製作の手伝いをしてくれた方々、部材を提供してくれた漁師さん・業者さん・柳川の自然、機材を提供してくれた方々、製作に向け関係団体と調整をしてくれた市観光課、水路課、観光協会などなど、多くの方々にこの場を借りてメンバーになり変わり御礼を申し上げたい。
２月１４日（火）景観計画
柳川は、水郷の街であり、歴史文化の町である。そして、観光の町である。
その柳川観光と言えば、川下りと白秋、御花、うなぎが定番であったが、十年ほど前から「さげもん雛祭り」も加わり賑わいを見せている。また、歴史的景観を取り戻そうという動きも出てきて、街歩きの観光がテーマとなってきている。
そういった柳川らしい景観を作ろうという動きは以前からあった。数十年前から歴史を生かし商店街の街並みを情緒のある木造建築物で統一するとか、ナマコ壁を普及させるとか、コンサル業者に多額の金を払って色んな街の姿を描いてきた。しかし、いずれも将に絵に描いた餅で終わってきていたのである。
その間全国では、見捨てられていた歴史建築物や埋もれていた財産の価値、その街の歴史や成り立ちを再認識し、どこにもないその町しか持ちえない魅力を発する街づくりが進められてきた。
そういった意味で、我が柳川市も、掘割を始め、歴史文化、先人が千年2千年の歳月をかけて作り上げてきた街である。どこにもない柳川市しか持ちえない特徴と魅力を持った町である。
従って、私はそういった先進地同様、国の策定した景観緑3法を活用し、街づくりをすべきと平成16年から訴えてきた。
そのきっかけとなったのは、川下りの出発点である高畑に16階建てのマンション建設が水郷景観を壊してしまうという議論が沸き起こったことによるものであった。当時の柳川市の条例では、高さを規制する条項はあっても、お願いするだけで決定権は相手にあり、どうする事も出来なかったのである。
そこで、早急に街づくりの目指すべき姿を描き、そのための景観条例などの条件整備を訴えたわけである。しかし、その意味が解っていたのかどうかは解らないが、市側は中々動こうとはしなかった。翌年に1市2町の合併を控えたこともあったのかもしれない。新市誕生の平成17年以降も、遅々として進まなかったのである。
そして一昨年になってやっと、景観条例制定に向け景観計画策定委員会が立ち上がり、この度3月議会で景観条例が制定される予定となっている。法律が制定され、私が訴えてきてから7年目である。これほど時間がかかるとは何とも情けない限りである。その中身は、柳川市内を、地域の特徴ごとに城下町ゾーン、田園景観ゾーンといったエリア分けし、建築物の色や高さに一定の基準を設けるとともに、その歴史的な景観を更に発展させ、柳川らしい景観の街を作り出そうというものである。
しかし、景観計画、景観条例を作ったからといってすばらしい街並み、景観が出来るわけではない。数十年前に作られた町並みづくりの計画同様、基準を設け行政だけが旗を振っても、コンサルタントを儲けさせるだけで、絵に描いたもちに終わってしまうことは目に見えている。
市民の間から、いかに柳川らしい景観を皆で作り上げ、後世に伝えていこうという盛り上りが出てくるのかにかかっている。
その火をつけるのが行政の役目である。
２月３日（金）一緒に楽しもう！！（お知らせ）
前回書いたクモデ網の製作は、材料は廃材やら大工さんから要らない木材を頂いたりと色んな方々の協力で調達している。また、作業も私の仲間をはじめその知り合いの知り合いといったように、こういうことを好きな人たちで成り立っている。
その作業を2月5日（日）午前9時から行います(12日も実施予定）。場所は、新外町の武家屋敷十時邸前の川下りコースです。一緒に作ってみたい人、完成したらクモデを引いてみたい人、単に面白そうだと思う人、お待ちしております。野次馬も大歓迎。
１月２３日（月） くもで網プロジェクト開始
私が日ごろお付き合いをさせていただいている方々は、年齢、職業、趣味と様々である。特に、私が議員をしていることから真面目な話題の議論をするメンバー、様々な文化活動に従事するメンバー、更に地域起こしのことなど、色んな事に熱中している人たちが多い。
そんなメンバーが集まって酒を飲んでいると、色んな企画話が持ち上がる。昨年からやっているジャガイモ作りもそうであるし、田植えを手伝ったり、皆で餅つきをしてみたり、面白そうだとなると早速実行となるのである。
そんな面白そうな事の中で、ここ数年構想を温めてきたものが実行されることになった。
それは、クモデ網の製作である。クモデ網は御承知の通り、有明海の海岸堤防や掘割に竹や木材で櫓を組みそこから5～6メーター四方の網を伸ばし、魚をすくって採るというこの地域伝統の漁法である。
海岸堤防では、まだまだ沢山姿が見られるが、掘割からはほとんど姿を消してしまった。唯一、川下りコース沿いに古くなり動かなくなったものが観光用に存在するだけになっていた。
そこで、飾りではなく実際にクモデ網が動けば、我々だけではなく多くの人たちが楽しめるし、子供たちにも引かせて楽しませることができるし、そして観光にも大いに貢献するだろうということで、皆で作ろうということになったのである。
ただ、現在あるクモデ網は観光協会の持ち物である。更に観光課の職員が毎年補修もしてくれている。私達が作りたいと言っても、観光協会、観光課の協力がないと出来なかったのである。そこで、観光課が私達と観光協会との橋渡しをしてくれ、私達主導で製作をすることが出来るようになった。
そして昨日、いよいよ製作開始となったわけである。
20名ほどの人間が集まってくれた。地元の行政区長をはじめ、観光課職員なども参加いただき、観光協会が手配をしてくれたクレーン車で現物の撤去と支柱立て、小雨が降る中夕方までかかって土台部分まで作ることが出来た。
これまで、何度も集まり、案を練ってきた。餅は餅屋ではないが、言いだしっぺである機械設備を生業とするメンバーが設計図から部材の選定をやってくれた。別のメンバーは趣味だということで網を手作りしてくれた。別のメンバーは廃材業者に交渉をしてくれ皆で部材の収集にも行った。漁業者にも協力していただき土台の支柱となる船着場から撤去した丸太も提供いただいた。準備段階でもそれぞれのメンバーの仕事や人脈が活躍するのである。
そして、製作に至っては言いだしっぺの設備屋さんが発電機から電動ノコ、機材を揃えて、作業においても八面六臂の大活躍であった。他にもユニック車をはじめ皆の人脈で様々な機材と人材を集めてくれた。
一つの目的、それも自分の利益ではなく、皆で共有できる目的、楽しみ、そして何より地域や多くの人たちの役に立ちたいという志、これこそが何より重要である。
これからまだまだ人材と材料が必要となってくる。楽しみたい人集まれ！！
1月3日（火） 謹賀新年
あけましておめでとうございます。今年も「柳川日和」を宜しくお願いいたします。
昨年の出来事と言えば、東日本大震災につきるであろう。
この大震災に関連し、自分の椅子にしがみつく総理と政府の対応を見ていて如何に政治が重要であるか、更に耳心地のいいマニフェストというものに釣られるとどういうことになるのか、選挙の時にしっかりと見極めて候補者を選ばなくてはならないかということに多くの国民が目覚めたことと思う。
それに反して、1年を象徴する漢字「絆」ではないが、人との繋がりの中で生かされ、家族、親戚、友人、地域、皆が手を携えて進んでいこうという流れは何だか力づけられる思いがした。
そういうなか師走となり、我が家でも仕事やら家の掃除やら年末の行事をかたずけるのに勤しんでいた。恒例行事の一つ、年賀状書きは、昨年の9月父親が無くなったため、年賀の欠礼状を出すことにしたわけである。
しかし、年賀を失礼するということは、他の年末年始の行事はどうなるのだろうということになる。母親やら、嫁さんは、知り合いやら、親戚に、問い合わせをしていたよう、頭を悩ませ、私にどうするのか聞いてくる。玄関のしめ縄や門松、鏡餅は飾っていいのか、年越し蕎麦や、おせち料理は食べてもいいのか、初詣には行ってもいいのか、などなどである。問い合わせをした方々の返事もマチマチ、しめ縄、門松は飾ってはいけないだの、鏡餅は年を越してから飾ればいいだの、まさしく十人十色であった。昔であれば一族の長老がおせっかいを焼いてくれたのかもしれないが、我が一族にもそういう人はいないのである。
何かと昔からの風習にこだわりがちの母、意外とこだわりの無い嫁さん、二人で話をしながら真ん中を選んで準備をしていたようである。私はというと、以前は風習にこだわる方であったが、議員という仕事、保険と言う仕事、色んな立場もあり、風習などと言っていては何にも出来ないし、無頓着になってきている。だから、二人で決めたことを黙認していたのだが、いざ年が押し詰まってくるとそうは言っていられなくなってきた。私の若手後援会との恒例の餅つきはあるわ、食べないことにしていた年越しそばは知り合いの方が「手打ちした」と持ってきてくれるやら、紅白歌合戦終了と同時に行っていた初詣行きたくなってきたし、気になってきた。
早速、神社に問い合わせてみると、家族の死去から50日以上経っていれば忌明けであり、全く問題なしとのこと。ついでに、神社庁のホームページを確認してみると、忌明けしていれば年賀状、初詣、あらゆる日常が普通どおりでいいとある。悩んで損した気分であった。
ということで、安心して、いつも通り年越しそばを食べ、紅白終了と同時に初詣に行き、夜が明けてからお屠蘇をいただき、おせちで一杯ということになったわけである。そして、多くの方々から例年通り年賀状が届いたのである。80歳代をはじめ多くの方々のほうが、よっぽどさばけていらっしゃるようである。これは、年明け早々、頭をはたかれたような気分で1年のスタートを切ることになった。