平成２０年
６月２９日 公印不正使用問題
前回に引き続き、柳川市公印不正使用に関する被害届について、お話しする。
この被害届の提出の経緯についてのこれまでの執行部の説明は、警察からの関係書類の提出要請、関係する市職員の事情聴取につづき、「平成18年に、警察から被害届の提出を求められたから提出した」。「その控えもなく、その詳しい内容もわからない」ということであった。
ところが、6月26日に議長、副議長が柳川警察署長に接見し、ぞの経緯を聞いたところ、以下のような回答であったという。
まず、「被害届というものは、あくまでも被害を受けたもの自らが、自らの意思で出すものであり、警察のほうから提出を求めることはあり得ない。」
次に、「被害届は、当事者を罰してください、という意思でだされるものである。」
最後に、「警察の求めに応じて、被害届を出したと言われれば、警察としては、非常に迷惑な話である。」という署長からの回答であったということである。
となると、これまでの市長の説明と明らかに矛盾することになる。これは、どちらが本当なのか、これからまず、その真偽が焦点となる。
６月２７日 報復の構図
今日で、6月議会が閉会した。
12日のこのページで、今回は平穏に終わるかと書いたが、新市誕生後、まともに議会が終わったことが無い。
議会のなかにいる者と、執行部、お互い立場が違うが、どういう気持ちでいるのであろうかは、大体想像がつく。また、それを見る市民の反応というのも、想像に難くない。外に目を向けてみると、他の市町村のことには、情報もないし、あまり関心の無いのが普通であろう。しかし、同じ地方議会に身をおく者にとっては、そこそこお互いの情報というのが入ってくるし、マスコミの報道にも関心を持っているものである。また、3月議会からは、柳川市議会のインターネット中継も始まったため、本会議に限定されるものの、手に取るように見ることが出来るようになった。
今回の議会も、最終日に、何時終わるのかという事態となった。
3月議会中の真っ只中、市の職員が書類送検されたというニュースが報道され、議会でも取り上げられ、紛糾した。その発端となっている、「市の被害届」の取り下げを要請したわけだが、今議会の最終日に執行部から、「取り下げはしない」との回答があった。この件に関し、私は、単なる書類不備を補完するための公印不正使用と思っていたのだが、その書類作成の根拠である土地購入に、疑惑ありとのことである。これは、大変なことである。この問題は、旧柳川市でも一部議員が取り上げていたのだが、すっかり忘れていた。まだ、その話がくすぶっており、司法当局の預かるところとなったとは、驚きである。
こんなことを書くと、柳川の恥をさらしてしまうことになるが、今後マスコミでも報道されることだから敢えて書かせていただく。
今議会の最終日、本会議が中断され、延々と4時間以上に渡って、議論された。
大多数の議員の議論の的は、被害届を出した経緯であり、市長の責任追及である。人が入れ替わり立ち代り、同じ質問を繰り返す。その当事者である担当部長にも質問が集中するのもしょうがないことである。なんとも苦しいながらの答弁のようであるが、私は、彼の愚直なまでの、腹の据わった態度というか、市政の中枢を預かる者の責任というか、姿勢というものに敬服せざるを得ない。
私が注目するところは、他の議員とは少し違う。その疑惑とは、土地開発公社が旧柳川ホテル跡地を購入するに際し、土地鑑定評価を行っていない。1億2000万円という購入価格が高すぎる。土地には基礎杭が何十本も残ったままの不良地である。ということであるが、このことは、考えてみると、ピアスの問題とそっくりではないか。そのピアス問題で、市長の責任が追及され、柳川市の混乱の大きな原因となってきた。そのピアス疑惑と同じことで、市長が被害届を出しているとは、驚きである。これから先言いたいことは、お分かりになるだろうから敢えて書かない。
この問題は、これから9月議会に後を引くことになるであろう。そんな中、ある議員が、近隣市の議員から電話が入り、「お前のところはまたもめているのか」と嘲笑されたとしきりに悔やむ。「インターネット中継も休憩のままになっているだろう」から市民も怒りを持って見ているに違いないから恥ずかしいと言う。しかし、事は現実である。その議論に加わっていなくても、それから目を背け、距離を置いているつもりでも、その中の議員の一人には違いない。事をしっかりと認識し、自分の立場を明確にし、どう行動するかが問題である。大勢の声にまぎれて身を小さくしていて、市民にどう説明しているのだろうか。是々非々の態度で、堂々とすべきである。
６月２０日 武家屋敷保存２
6月5日のこのページでタスポのことについて書いた。
タスポ導入によって、タバコが一般のタバコ屋さんで買われなくなり、コンビニに集中している。コンビニの売り上げは、その本社である東京に集中しているため、タバコ税も東京に集中してしまい、地方自治体へは入らなくなるから、柳川市にとってもこれまでの4億円の税収が激減してしまうことになりはしないかということを心配していたが、その心配は無くなったようである。
というのも、コンビニでのほとんどが、その店自体がタバコ販売権をもったフランチャイズ店であるようで、直営店はほとんど無いようである。タバコ税の課税対象は、タバコの販売権をもったところへ課税されるから、柳川のコンビには、そのほぼ100パーセントがタバコ販売権を持っており、柳川市でタバコ税が課せられ、柳川市へタバコ税として交付されることになるらしい。
何度も、確認したが、市担当課によると間違いないらしい。ひとまず安心である。
それでも、心配なのは、タバコ販売で生計をたてている小売店の方々である。「小売店でタバコを！！」というキャンペーンでもできないものか。
ところで、今日、例の武家屋敷などの歴史建築物の保存活用に関し、署名が城内地区の区長会長と観光協会長の手で、市長に手渡された。その数2881名である。74000人の人口からすると、大した数ではないように思える。
考えてみると、歴史文化の街を標榜する柳川市である。ましてや、それは合併する前からのものである。合併前を見てみても、歴史文化の保存に対する市民の反応はどうであったのだろう。私が知る限りでは、昭和44年に開館した「白秋生家」くらいであろう。この白秋生家は、それまで油屋、海産物問屋、造り酒屋などで九州中を名を馳せた北原家が、大火が原因で没落し、果ては、人手にわたってしまい、その後は、所有者が移り変わり、海産物の加工工場になっていた。そこが、事業につまづき、人手にわたろうとしたところ、その当時の市長の決断と、白秋の名声ゆえかもしれないが、白秋にまつわる人、名だたる文化・芸術家をはじめ、全国の方々の浄財によって、取り壊される運命であったものが、残され、修復されて、白秋生家として甦ったということではないかと思う。
その時代にあって、柳川市には多くの武家屋敷、商家をはじめとして多くの歴史建築物が多く現役として残っていたはずである。しかし、高度成長を続ける時代にあって、新しい便利な住宅が好まれ、古くて住みにくい昔の建物よりも、便利で住み心地のいい文化住宅がもたはやされた時代の趨勢かもしれない。
しかし、時代とともに昔から城下町の名残をとどめる、武家屋敷、商家屋敷が一つ一つと姿を消していき、その数が減ってくると、名残を惜しむ声が大きくなってきていたことも事実であるようである。しかし、だからといって、そのことについて、時代の移り変わりであるからしょうがない、どうしようもない、といったあきらめであったのかもしれないし、特にその多くが存在した、城内地区は、江戸時代からの住人がほとんど離散し、現在に至っては、住民のうち昔からの人が占める割合は20パーセントもあるだろうかと言った具合である。その住民は、平成20年代の昭和の大合併以降、移り住んだ人たちで占められている。したがって、地域の連帯も薄ければ、地域がまとまるということも希薄であったわけである。
その城内の人たちが、ひとつのテーマ、特に城内の名前の根本である、城下町としてのシンボル武家屋敷と歴史建築物の保存に向けて、そのひとつ方向に向けて、同じ価値観を持ち、力を合わせるに至ったということは、画期的な出来事であると思う。
ここ1ヶ月間で、3千人近い、人たちの署名があつまったということは、すごいことである。
それを思うと、今日の署名を手渡したときの、市長の反応というか態度は、話す気にもなれない。
６月１２日 白秋の愛弟子？金素雲
昨日から６月議会が始まった。例年、年度最初の６月議会は、議案の数も少ない。今回は、議会内が対立するような案件もないようである。いつになく平穏な議会になるのかと思われるのだが、ひとつ気になることがでてきた。
というのも、冒頭に行われた市長の行政報告のなかで、「金素雲」なる人物にまつわることが報告された。
「金素雲」という人物は、戦前来日し、炭鉱などで働く朝鮮人からの取材をまとめ、朝鮮民謡、農村民謡をまとめ発表したことから日本文壇で認められるようになり、北原白秋も彼の才能を認め援助したという逸話が残っている。金素雲も白秋を師と仰いでいたといわれる。 金素雲は、韓国では、一時は親日派として虐げられた時代があったものの、その功績が認められ韓国の文化勲章を受賞している人である。
今年になって石田市長から、その金素雲を通して、柳川の観光を活性化したいとの話が聞かれるようになり、テレビでも金素雲と白秋の番組も放送された。そして、石田市長が４月に韓国を訪問し、金素雲の長男に会い、金素雲の遺品を白秋生家に譲り受けることを約束してきたというものであった。そういう人の遺品を寄贈いただくならば、柳川にとっても、柳川観光にとっても大いにプラスになることである。しかしと思う。
その金素雲の遺品。遺品にも執筆に使った道具であるとか、原稿など色々あると思う。遺族がどういう意図で、何を寄贈いただくのかわからないが、韓国にとっても貴重な財産であると思う。その財産を、遺族であるとは言え、個人と柳川市が単独でやり取りをするということには、危うさを覚えざるを得ない。
なぜなら、日本と韓国の関係は、微妙な関係であり、いまだに反日感情が強いことも事実である。遺族側の白秋に対する恩義からくる好意かもしれないが、それをそのまま単純に受け入れて、一地方自治体の判断で受け入れていいものかどうか。取り越し苦労かもしれないが、ここはこちら側が、先々のことも見据え、慎重にことを運ぶべきだと思う。全国的にも、白秋にまつわる方々、文化関係者、東京大学にある金素雲基金関係者など多くの識者がいらっしゃるのだから。聞くところによると、原稿をもらう約束があるともいう。ことを急いで、先々、柳川を震源地として、韓国での「日帝」意識に火を注ぐことにならなければと危惧する。
ましてや、白秋はいまでも日本文化において詩聖と言われる特別な存在である。そして、「白秋生家」は、白秋の愛弟子、名だたる文化関係者、全国の白秋ファンの浄財によって復元され、これまで多くの方々が守り育ててきてくれたものである。そのあり方については、その経緯からして、白秋のご遺族、白秋にまつわる方々、文化関係者、全国のファン、皆が注目していると思う。柳川だけのものでないと思う。そこを、しっかりと認識しておかなければならない。
６月５日 タスポ
ここ数日「タスポ」にまつわる話題がマスコミを賑わしている。「タスポ」とは、紹介するまでもなく、タバコを自動販売機で購入する際に、必要なカードである。カードは、住所氏名、生年月日などが個人情報インプットされたもので、未成年者のタバコ購入防止策として、今年の5月から九州地区で導入され、今後全国に展開される予定である。
私もタバコを吸うが、タスポは作っていない。なぜなら、まず面倒くさいからであるが、更に、タバコを買うのに、住所氏名、生年月日、写真まで情報を提供しなくてはならないことに非常に抵抗感を覚えるからである。私がタバコを買うタバコ店で聞いてみると、ほとんどタスポの普及は進んでいないようである。
導入されたのが、5月1日だったわけであるが、その後の反響として、タバコ屋さんにお客さんが入ってきて買うようになったため、会話が生まれ、ふれあいがの機会が増えたといった思わぬ反響も聞かれたが、別のタバコ屋さんでは、これまで万円単位の売り上げのあった自動販売機の売り上げが、5月一ヶ月でたったの数百円だった。その分、店内での売り上げが増えたわけでもないということであった。
これは、由々しきことと思っていた矢先、ばあちゃんが孫にタスポを貸して検挙されたり、自動販売機に店主がタスポをぶら下げたりと、ご存知の通りである。
そもそも、未成年者の喫煙防止のためとは言え、こんな大掛かりなことには疑問を覚えていた。二十歳になる前の時期、タバコに非常に興味を覚える時期があることも事実である。今でもタバコを吸っている私が言うと説得力がないのだが、吸いたいやつは、どうにかして手に入れるわけだし、かえって規制されると余計にしたくなるのが人情である。などと言うとお叱りを受けるかもしれない。しかし、、既に２～３年前に試験導入された鹿児島県などでは、一時的に未成年者の喫煙が減ったものの、不正使用などにより未成年の補導の数が大幅に増えたことが報告されている。
それともう一つ。自動販売機にタスポの機能をつけるということは、それだけの導入費用が発生する。その自動販売機は、全国に約90万台あるという。ということは、そのカード作成費用と、機械導入費というものは、すさまじい額になるわけである。そうなると、これを推進した、関係団体と関係業者、役人と政治家、なんともキナ臭い匂いを感じざるを得ない。
更に、気になることがある。というのも、冒頭に書いたとおり、自動販売機の売り上げが極端に落ち込んでいる。その分店頭販売が多くなっているわけだが、その店頭販売は、ほとんどがコンビニに集中しているようである。そのコンビニの本社は、ほとんどが東京などの大都市である。そうなると、タバコ税もその本社のある東京などに帰属することになる。自治体にとって、その自治体で売れたタバコの本数に応じて配分されるタバコ税は貴重な財源である。この柳川市では、4億円である。4億円とは馬鹿に出来ない額である。柳川にとって来年のタバコ税がどれくらいになるのか非常に心配になってきた。財政難にあえぐ地方自治体にとって由々しき問題である。
５月３０日 伝習館に水路があった
柳川は水郷の街である。市内を縦横に廻る掘割は、独特の景観を造り、また、その水は農業用水、防火用水をはじめ様々なものに活用されると同時に、市民の生活に潤いとやすらきを与えてくれるものである。
「柳川掘割物語」ではないが、その掘割を見捨てようとした時代があったことも事実であるが、その過程で、掘割の成り立ち、そして掘割と水の果たす役目というものを改めて私たちに知らしめてくれたわけである。
柳川市では、旧柳川市にあった「水憲法」を改めて制定し、また今年になって「掘割を生かしたまちづくり行動計画」をまとめ「ホタルの飛び交う水郷柳川を目指す」としている。それは、行政はもとより、私たち市民にとっても大いに期待するところである。しかし、その実現のためには、まずは市民の皆さんの共通した価値観形成と参加が求めらるし、地道な活動、ハード・ソフト両面からの画期的な手法や、事業の実施が必要になる。多くの労力と時間、多大な金を要する柳川市にとって一大事業であるかもしれない。
その中で、現状というか、問題を洗い出してみたときに、水量と水流の確保、水の浄化などなど多くの課題があるが、その一つとして、この50年間で掘割の延長と幅がかなり小さくなっているということである。農業地では、掘割は水を供給してくれる大切なものであったが、土地改良事業によって自動的に田んぼに水が供給されるようになると、掘割の管理もなおざりになり、はては、少しずつ両側から土地をせり出し、堀を埋めていくということになった。また、中心部では、水道が普及し、宅地開発が進み、宅地が掘割を脅かすようにせり出し堀幅が狭くなったり、はては必要の無いということで、掘割が埋め立てられていったようである。そこで、袋小路のように行き止まりになった堀をよく見かける。その堀の水は、当然流れないので、ヘドロやゴミが堆積する。そして、また見捨てられ埋められていくという悪循環であったと思う。そういう意味で現在残る掘割はもとより、寸断された堀をつないでいくということを考えるべきだと思う。
そうは言っても、家が建ったり、私有地化したところでは、もうどうしようもないのだが、そのなかで、以前から気になっている部分がある。
それは、伝習館高校の南側と西側である。南側には100メートルほど堀があるが、半分で途切れている。そして、伝習館の西側には、外堀からつながる掘割があるが、これも通称１８メーター道路で途切れている。聞くところによると、この寸断された二つの堀は以前はつながっており、流れがあり、きれいで、子供達の水泳や遊びの場であり、船も行き来していたということである。
現在寸断されているこの二つの掘割の現状は、閉鎖的であるため想像通りきれいではない。特に西側は、ヘドロ化しており、悪臭を放っている。
私はこの寸断された掘割をなんとかもう一度つなげられないかと以前から真剣に考えていた。そこで、地元住民の方、昔の姿を知る先輩方や行政関係に調査したりしていたのだが、具体的な打開策が出てくることもなく暗中模索の状況にあり、市政、環境、景観などなど様々な場面での議論の話題にでもなればと思っていた。
しかし、最近になって、伝習館グランド敷地となっている寸断している部分に側溝があることが判明。側溝があるということは掘割の名残かと考えるようになった。そうなると、その土地の所有者が気になり、確認するとにした。地籍図を手に入れ見てみると、東西の掘割を寸断しているエリアにある側溝部分が市の所有地となっている。しかも、その幅員は掘割くらいあり、東西の掘割と見事つながっているではないか。そこで、さっそく市の担当部局、地元関係者に話をすると同時に、市の財産管理担当課長と現地確認をする。皆、理解をしてくれる。寸断された堀をつなぐことが現実のものとなるかもしれない。
しかし、現況ではフェンスで囲まれた伝習館のグランドの敷地である。したがって、県との交渉が必要となる。他にも、超えるべきハードルは幾つもある。しかし、実現可能なことである。いや実現しなくてはならないと思う。是非、今後の「掘割を生かしたまちづくり」の試金石のひとつになればと思う。
５月１２日 垂れ流し
昨日、ある地区の総会に出席した。地域コミュニティが叫ばれている昨今であるが、出席者は20名くらいである。その顔ぶれは、年代的には60代以上が大半を占め、男性よりも女性の数が圧倒的の多い。地域コミュニティが叫ばれているが、地域行事に参加する顔ぶれは決まっており、同じ顔ぶれの人たちが何役もこなさなくてはならない実態である。山村の過疎集落が限界に来ており、集落崩壊のニュースをよく耳にするが、地方都市の中心部では住民の数は多くはあるが、地域の連帯感は薄いのが現状である。
そういう中でも、地区の活動内容、活動費用、市からの助成金の使い方などなど結構活発な議論が行われる。生の本音が聞くことが出来、非常に参考になるし、勉強もさせられる。
その中で、ひとつ気になることがあった。地域の環境維持のためにある組織が出来ており、市内全域に委員が配置されている。行政から報酬が支払われている。その活動については、私もその実態について疑問をもって、行政に問いかけたことがあったのだが、この地区総会の予算審議で、その報酬が計上されており、その内容について意見が出されたのだが、その委員が何をする役割なのか、当の委員本人もあい知らないとのことである。これは何をかいわんやである。
厳しい財政事情のなか、地方都市は厳しい行政運営を強いられている。経費節減はもとより、様々な補助金の精査など行財政改革が緊急な課題である。そして、行政と市民との協動なるものが掲げられている。本来、行政役割の一部を委託しているはずの委員さん本人でさえ、その役割も何の報酬なのかも知らない。知らないが、もらえるから金をプールしておくという状況である。それを知らない委員さんたちに、活動実態の把握、活動促進の啓発もしないで、無条件に金を投げ渡すということがまかりとおっている。行政本体の本来業務と意識の欠如としか言いようが無い。再度言うが、何をかいわんやである。
４月２４日 思わぬところに市の職員の姿
私の住んでいる新外町は、昔で言うなら武士が住んでいた御城下である。御城下といっても、西の外れのところで、周りを堀に囲まれ独立した島のような形態となっているため、どこへ行くにしても橋を渡らなければならない。したがって、この新外町へは住人以外には、用事のある人しか来ないので非常に静かである。
今朝、仕事の一服のため庭に出ていると、表から話し声が聞こえ、数人の往来者の姿。静かな新外町ではあまり見ない光景である。よく見てみると、見覚えのある顔。市のある課長である。彼も私に気づく。表へ出てみると、彼以外に、市の幹部数人。用事のある人しか来ないところに、市の部長やら課長が5人勢揃いである。
何故こんなところにと聞くと、武家屋敷を見て廻っているという。私の住んでいる新外町には、武家屋敷が３軒残っている。次の目的地を探しているらしい。私の議員活動の重要なテーマである歴史文化の保存活用である。すかさず道案内と同時に、薀蓄をたれてしまう。それならば同行し、案内しようとも思ったのだが、そこへ、文化係の担当者が現われ、彼の案内で廻っているようである。彼の案内ならば、心配も要らないし、自分が居ては妙に意識されてもいけないと思い、遠慮する。しかし、彼らが、武家屋敷はもとより、昔の城下である城内の町並みや景観をどう感じるのか非常に興味のあるところであり、後ろ髪を惹かれる思いであった。
ここでも書いたとおり、柳川に残る武家屋敷９軒のうちの一つである袋町の渡辺邸が1年後をもって取り壊される運命にある。歴史文化の街、観光の街を標榜する柳川市にとって、武家屋敷をはじめとする歴史建築物の保存活用は重要な命題である。このまま放置すれば、10年後20年後には、市の所有となっている戸島邸以外はすべて無くなってしまったということにもなりかねない。そこで私は、3月議会の一般質問で、柳川の景観と武家屋敷の保存活用について、執行部の姿勢を質したわけだが、市長の答弁からは、武家屋敷をはじめとする歴史建築物の価値認識は感じられず、保存活用にも消極的であるように思えた。しかし、私はこの件に関し、しっかりと一石を投じ、問題提起と今後の保存活用の布石となったと思っていたところである。
そこで、午後、別件で市役所へ行ったついでに、その感想を聞きたくてある部長を訪ねてみた。この市の幹部による武家屋敷視察は、この問題に真剣に取り組んでくれている担当部長の問題提起に対して、市長が、幹部に一度現物を見てみたらどうかと指示したことによるものらしい。彼らは、渡辺邸を皮切りに、歩いてそのほとんどを見てくれたらしく、渡辺邸と十時邸は屋敷内の様子も見てきたとのことである。また、鬼童町では、浅田邸、荒巻邸、坂井邸跡と連なる掘割の水を引き込んだ流水式庭園も見てくれたようである。彼らの感想としては、武家屋敷の価値を認識し、何とか残せないものかであるとか、柳川にこんなところがあったのかと皆驚きをもって受け入れてくれたようである。また、行政を司る市の職員の自分達が柳川の姿、良いものを知らずして、まちづくりは出来ない。こういったことは、これからももっとやっていこうということであったらしい。それを聞いて、嬉しくなってしまった。
しかし、見てみて良かった良かったで終わってしまうことが、得てしてよくあることである。彼らが、今日感じたこと、これからのまちづくりでイメージしたことが、どう市長に伝わり、、市長がそれをどう受け止めるのかが、まず関心のあるところである。そして、市長がどう反応するのかが問題である。要はこれからである。近々、その報告をする会議があるようだが、事の成り行きを見守りたい。
３月２６日 報復の構図
二日遅れになったが、一昨日3月定例議会が終了した。今回は、平成20年度予算審議が5日間行われるなど、長い議会であった。
その最終日、今回はズムーズに終わるかと思っていたところ、またしても夕方一杯どころか、延長となり2回目の柳川夜景となるところであった。それは、議会冒頭の緊急質問に端を発した。というのも、市の職員が福岡地検久留米支部に書類送検されたという問題によるものである。
内容は、平成16年に市の依頼を受けた柳川市土地開発公社が柳川ホテル跡地を購入した際、県から書類の不備を指摘されたため、担当者が市長と土地開発公社理事長の公印を無断で使用し、土地開発公社への購入の業務委託書作成をしたということで、有印公文書偽造の疑いで書類送検されたというものである。
この旧柳川ホテル購入については、旧柳川市議会で購入の目的や経緯について一部議員が取り上げていた。しかし、何故今頃になってということと、何故一担当者が書類送検される事態になってしまったのか驚きである。
執行部からの説明によると、以前から柳川警察で内偵調査が行われており、平成18年、関係する市の職員数名が事情聴取を受けていたということ。そして、有印公文書偽造の疑いがあるからということで警察から被害届を出すよう求められたため、平成19年6月に被害届を提出したということらしい。
確かに、正規の使用方法にのっとらずに公印を使用したということは大いに問題である。しかし、土地購入については市長から購入の指示があり、その指図書には市長の公印が適正に押されている。その事務的なミスを補うためのものであり、到底悪意のある使用ではないはずである。この担当者のみならず関係職員、公印の管理部署も関係していたと見るべきだと思う。であるならばこの件は、無断使用、公印の使用方法、管理方法について行政内部で注意なり是正をすれば済む話である。一部議員からは、何故内部調査もせずに被害届を出したのかと追求する向きもあったが、警察の取調べは相当厳しいものだったらしい。その厳しさはすさまじいものがあり、被害届を出さなければもっと大きな問題に発展し、多くの関係者に手が伸びることを防ぐためだったと見るべきかもしれない。
しかし、今となっては、それをこの一担当者がすべて責任を取らされる形となっているなってしまうこの状況は、誠に遺憾である。したがって、私は、市長が被害届を取り下げ、当局に寛大な処置をお願いすべきではないかと求めたが、それに対し、市長は、それが出来るのか検討したいとの答弁に留まったのはなんと言うべきか。
それにしても、何故柳川市の内部情報が警察の知るところとなり、表ざたになって書類送検という事態になってしまったのであろう。ある人によれば、この土地購入は石田市長と戦った河野前市長によるもので、土地購入に絡み利権が動いたのではということで、これまで続く市長への攻撃に対する市長派の報復と見るべきとの話もあった。そうであるならば、報復の報復、応酬の構図となってしまう。これが、何を生み出すというのであろうか。
３月１２日 柳川の夜景
今日、市議会議員になって始めて市役所から柳川の夜景を見た。
唐突な出だしとなってしまったが、現在３月定例議会が開催されている。今日は、３日間続いた一般質問の最終日だった。今回は、１６人の議員が登壇した。私も昨年の９月議会以来、柳川の景観と水、それに関わる課題について質問した。一般質問をするときは、議会に望む緊張感が違う。また、質問をするに当たっては、質問する話題を様々な観点から調査したり、掘り下げたり、かなりのエネルギーと時間を要する。執行部との議論のやり取りにもかなりの神経使うし、エネルギー必要である。したがって、質問を終えたときの開放感はなんとも言葉に代えがたい。
今日の質問者は５人である。１人の持ち時間は１時間だから、通常であれば午後４時過ぎには終わる計算である。今日の夕方は、親しい方と夕方から食事をする予定であった。したがって、質問を終えておいしいお酒を飲めるとつもっていたところが、見事に裏切られた。
なぜなら、旧大和町時代から引きずっている問題で、紛糾してしまったからである。以前にも書いたことがあるが、旧１市２町が合併し、新柳川市となってからは、議会開催中は別の予定が入れられない。旧柳川市は、開会日、質疑、採決の日はまず午後まで続くことは無かった。旧大和町と三橋町は、よく紛糾し夜中まで議会が続くことがしばしばだったらしい。この違いを極端な見方をすると、予定通りに事が進まないのは、よほど議論が掘り下げられて審議されているのか、対立による紛糾しているかである。予定通りに事が進むということは、議会内、執行部と議会の関係が良好なのか、議案がしっかりと議論もされずに通ってしまっているか。旧１市２町の場合がどうであったのかは、ここで書くつもりは無いのだが、新柳川市になってからの場合は、まずは対立によるところが多い。しかし、場合によっては、そのことによって議案の内容が様々な面から議論されるため、内容が掘り下げられ、見えなかったものが見えてくるということもあるのだが、後ろ向きのものがほとんどである。
今日の場合も、市長の不用意な発言に対する名誉を傷つけられたというある議員が反発し紛糾したものである。場所を本会議場から委員会に移し、市長派、反市長派あい乱れる議論が交わされる。話の結論が見出せずどんどん深みに入っていくばかりである。議場のひな壇の部課長はただ議会が再会されるのを待つばかりである。われわれ議員も深みに入っていくばかりの議論に辟易しながらも、関係者達はまだまだ空虚な議論を続けていくばかりである。
結局、議会、執行部数名による話し合いの上、市長発言の取り消しということで話がまとまった。何だったのだろうこの２時間は。時間は午後７時である。大和と三橋の議員からは、こんなの早いうちで夜１２時頃まで続くこともあったと先輩顔をされてしまう始末である。
委員会室を出て、あらためて外を見てみると外は真っ暗。ぽつんぽつんを明かりが点在する柳川の夜景である。議会は市役所の４階にあるから結構眺めはいい。こういう高い場所から見る柳川の夜景は、議員になってからどころか、見たことが無かった。なんとも珍しい景色を見させていただいた。
市役所を後にし、会食の場へ行くと、皆既にいい気分でいらっしゃる。今日の酒は、一般質問を終えた充足感を持って生ビールを煽るはずであった。皆が、ほろ酔いとなってビールから酒に移っている中、１人だけ生ビールをクーッとやるのは、つまらないものである。それでも、割り勘負けをしないよう生ビールを２杯も飲んでしまった。
それにしても、市役所４階から見るひっそりとした柳川の夜景が目に焼きついている。
２月２９日 市役所石碑にまつわる話
今日から３月議会が開会し、平成２０年度予算をはじめとする審議が始まった。平成20年度は、新柳川市となって４年目の年となるが、このたび新柳川市の市民憲章が出来上がり、柳川庁舎前の石碑に刻まれることになった。執行部からその報告を受けて、この柳川庁舎が完成したときのちょっとしたエピソードを思い出した。
というのも、この柳川庁舎は旧柳川市の市制施行２５周年の昭和５２年に建てられたものであるが、旧柳川市にとっては念願のものだったらしく、当時の市長であった古賀杉夫先生から面白い話を聞かせてもらったことがある。
この庁舎の建設に際し、関係者のご苦労も多かったようであるが、古賀杉夫先生の幼馴染で、当時三菱重工の社長であった古賀繁一さんが多額の寄付をされたらしい。その功労を讃えて、完成した庁舎のどこかに古賀繁一さんの名前を残しておこうとしたところ、固辞されたため、古賀繁一さんには内緒で庁舎前に市民の言葉を刻んだ石碑を立て、名前を刻んでおいたという話であった。
しかし、今の今まで確認したことなどなかったのである。その石碑を 削りなおして市民憲章を刻むということになると、古賀繁一さんの名前が消えてしまうことになりはしないかと心配になってきた。
もう昔の人のことだからと思ってしまうところであるが、この古賀繁一さんという人は、柳川の昭代の出身で三菱重工の技術畑の第一線を歩み、あの三菱重工のトップまで上り詰めた人で、旧日本軍の「戦艦武蔵」を設計した知る人ぞ知る伝説の人物である。武蔵といえば戦艦大和、空母信濃と並んで当時の世界最大の艦船として有名である。戦艦大和の最後の艦長も高田町出身で伝習館卒業の伊藤大将であるし、この古賀繁一さんもそれに劣らぬ柳川が生んだ偉人である。その方が故郷のために浄財を寄贈し、目立つことを良しとしなかった古賀繁一さんの謙虚さを受け止めつつも何とかその功労に報いたいという古賀杉夫先生の配慮。なんとかこういうエピソードは残しておきたいものである。
そこで、総務部長にそのことを話したところ、彼もこの話は知っていたようで、さっそくその刻銘がどこにあるのか確認してくれた。二人で石碑を確認すると、その石碑の下にもう一つかなり小さな石碑があり、目立たないように古賀繁一と刻んであった。なんとも目を凝らしてみないと判らないほどの遠慮がちというか、用心深さである。その時のお二人のやり取りが聞こえてきそうである。総務部長と二人で、どうしたものかと思案するが、もうすでに御両方とも故人であるから、少し目立つように色を塗ってもお許しいただけるだろうということで話がまとまった。
このエピソードは、古賀杉夫先生の自叙伝「耐風雪燦人生」にも書かれてある。この本にはあの大戦のことを始め、昭和の日本と柳川、昭和の大合併で出来た柳川市の歩み、歴史が、市長の目を通して書かれてあり、私たちにとってもたいへん参考になることも少なくない。ご一読をお勧めする。
２月５日 男女共同参画
平成20年も2月となったが、年明け早々、話題は、年賀状の古紙利用率に始まり、製紙業界全体の問題へと発展している。そして、毒ギョウザと、、「偽」の話題がニュースを賑わしている。また、原油高による生活への影響、ガソリン税の暫定税率問題、アメリカのサブプライムローンに始まる落ち込みなどなど、話題には事欠かない。
そういう中で、アメリカの大統領選挙の指名候補選びの予備選挙のニュースが日本のニュースでも大きく取り上げられている。日本に限らず世界中が注目するのがアメリカの大統領選挙だから当然なのかもしれない。共和党と民主党、それぞれの候補者選びが白熱しているが、俄然注目を集めているのが民主党であろう。初の女性大統領か、初の黒人大統領か、ということでクリントンとオバマの熱戦の報道を見ていると、両陣営の戦略も垣間見えてくる。クリントンは、言わずと知れた元ファーストレディであり、その前の弁護士時代はアメリカでもっとも有能な弁護士として有名だったし、上院議員となってからも注目され、大統領候補としてその経験と実力で、民主党候補の本命であった。そこに、ケネディの再来と言われるオバマが登場し、選挙戦も俄然面白くなっている。
自他共に実力が評価されているクリントンが、苦戦を強いられたときに女性としての涙を見せた。この涙が大きく有権者を動かしたらしい。また、以前には、特に弁護士時代には、家庭で子育てと料理をするという女性像を否定していた彼女が、ことさら得意料理をアピールしたり、スーパーマーケットでの食料の買い物風景を取材させるなど、女性らしさ、家庭での主婦というものを強調する戦略をとっている。
アメリカといえば、レディファーストの国である。女性参政権はもとより、ウーマンリブの震源地であるし、女性の社会進出、男女共同参画が進んだ国と言われている。日本の男女共同参画推進を進める人たちが理想の姿としてよく引き合いに出される国である。
しかし、その中身を見てみると、男性上位の社会であることは、識者が皆認めるところである。外見上は、妻が家庭を仕切っているように見えるが、アメリカ人の夫は、財布は自分で管理し、必要な分だけ妻に渡すらしいと聞いたことがある。アメリカ人の家庭像として、夫が外で働き、妻が家庭で家事に勤しみ、料理に腕を揮い、子育てをする姿というのは、アメリカ人にとっても理想の母親、女性像といったことらしい。先進的に見えていても、歴史的に積み重ねられた男性と女性の役割分担の価値観が根底にはあるようである。
つい１０日ほどまえ、柳川で男女共同参画の講演会が開催された。基調講演では、元杷木町の町長で、福岡県の男女協同参画推進のための組織「アスバル」の館長（名前を忘れてしまった）が、自分の農家の主婦としての苦労を交え、女性の権利拡大、男女による家庭での家事の分担、子育ての分担、社会進出、そういったことによる社会の活性化を面白おかしく話をされた。８割ほどを女性で占めるほぼ満員の会場からは、大きく拍手が送られた。
そして、後半の市民代表によるパネルディスカッションにおいても、男女共同参画推進の話が中心であったが、最後のパネリストが毅然と男女平等には賛成であるが、共同参画には反対であると前置きし、今行われている行き過ぎた男女共同参画教育、子育ての外注の弊害、男女の役割分担の合理性、家庭での母の役割、主婦の役割、子供にとっての家庭の重要性というものを話された。
そして、意外にも６人のパネリストの中で一番の拍手であった。男女平等は皆が受け入れるところではあるが、やはり男と女は、性の違いだけでなく、持って生まれた特性というものがあり、男女共同参画が叫ばれている中でも男女の特性による役割分担というものは、社会特に家庭においては有効に機能しているというより歴史に裏打ちされた役割分担が必然のうちに出来上がっているのだと思う。したがって、これまでの歴史の中で女性の抑圧された時代があったとは言え、皆が是とする男女の役割分担、特に母性を象徴とする女性の役割と言うより、女性の特権、男性には出来ない世界というものがあることをこの時代にあっても当の女性は分かっているのだと言うことが、拍手の大きさからも、クリントンの行動からも分かってくるということであると思う。
その発言をした人を含め、日本人の女性に流れる女性としての誇りと自負に、今の時代に生きる者として安堵と希望を持った次第であった。
1月２８日 ジャックバウワー
昨年の秋から、夕方以降特別の用事もない時の家でのくつろぎかたは、もっぱらテレビである。それもアメリカのテレビ映画「２４」である。アメリカのテロ対策の専門組織の活躍を描いているのだが、１話を見終わるのに最低でも6日間かかる。というのも番組タイトルのとおり、１日の２４時間でストーリーが完結するようになっている。DVD１枚に２時間分が収録されており、２４時間分だからDVDで１２枚見なければならない。実際には、１枚見るのに１時間半かかるから、だいたい１日２枚見て、３時間。内容はそうとうのハードボイルド、いやそれを超越したヘヴィーな内容だから、かなり疲れる。３枚でも見ようものなら、ヘロヘロである。
我が家の奥さんも相当はまっているのだが、緊迫した場面は子供ではないが顔を隠しながら見ている位だから、彼女のダメージは私以上である。
それにしても、主人公のジャック・バウワーの強いこと強いこと、絶対に死なない。死んでも生き返ってしまう位である。その演技も迫真に迫り、なかなかのものである。しかし、、このドラマに出てくる俳優は、ジャック・バウワー演じるキーファー・サザーランドをはじめ、ほとんどお目にかかったことが無い俳優ばかりである。その演技力は、スター俳優に引けを取らない。こういう売れない俳優がごろごろいるのだろう。
このドラマを見ていて思うのだが、アメリカのショービジネス、映画業界の裾野の広さとその実力ぶりには驚かされる。「ロッキー」のシルベスター・スタローンではないが、無名の脚本家がストーリーを売り込み、それを小さな制作会社が無名の俳優を登用して、メジャーに売り込むのだという。その類は、数限りなくあり、実際に日の目を見るのはほんの一握りであるに違いない。まさにスター誕生の世界である。
この「２４」の主役のキーファー・サザーランドも、このドラマで一躍スターの仲間入りを果たし、同時にかなりの金も手に入れたらしく、私生活もかなり派手になったようで、昨年アル中になり、飲酒運転で刑務所に入れられたというニュースまで伝わってきた。貧乏人が金を持つと、あまりいいことは無い。
それにしても、最近我が家ではアメリカものが流行っている。ビリーしかり、この「２４」しかりである。もともと１０代のころから、アメリカ発の音楽に熱を上げていた。アメリカのものは、なんでもカッコよく、憧れの的であった。それは、昭和３４年生まれの私以前の世代、昭和２０年代生まれの人たちから始まった。
今の日本を見ると、昨年の漢字「偽」ではないが、安全であるべき食が当たり前に口に出来ない時代である。嘘が当たり前に横行し、日本人として社会人として皆が当然と思うべきことが、当たり前として受け入れられない風潮である。学校の給食費しかり、父兄による教師へのクレーム、親殺し子殺し、ただ殺したかったから殺したなど、枚挙に暇がない。
戦後アメリカ統治に始まり、食生活はもとより、生活習慣、教育、社会的価値観、様々な影響を受けてきた。また、それを是とする風潮にも後押しをされ、戦前の日本と比べると、今の日本は、生活スタイルはむろんのこと、個人主義が幅を利かせ、あらゆる面でアメリカの影響を受けてきた。反面、日本の歴史と伝統文化に根ざした、伝統、文化が私たちの生活から消えていったような気がする。戦前、学校の教科に「修身」なるものがあったらしい。歴史上の偉人の生き方、功績を学んで、人間のあるべき姿、社会における善悪というものを教えていたという。皇国の教えということで軍国主義の根幹となったと言われ、戦後に廃止されてしまったそうである。それに変わり、道徳の教育が行われているが、その結果が現在の姿であることは、何なのかということを問い直してみないといけないと思う。
今、日本人の日本人たるものが何か、どうあるべきかと改めて問われている時代である。２０００年の日本人の歴史の中で培われ、築き上げられた、日本の伝統文化、日本人の価値観、道徳心、それが、戦後の６０年という短い期間で大きく転換してしまったように思う。昨今、武士道たるものが、上杉鷹山の徳目による治世といったものが脚光を浴び、国家の品格といった本がベストセラーになるといった風潮は、その表れではないかと思う。私も、こういった風潮には賛成であるし、そういった先人の功績、先人の教えをあらためて学ばなければならない時代であると思う。
そんな中、今夜もアメリカの強いジャックバウワーにのめりこんでしまう。
1月18日 渡辺邸
先日、知人から袋町の渡辺邸が売りに出されていると知らせが入った。その渡辺邸とは由緒ある家柄で、入り口脇には立花藩剣術指南役渡辺・・・屋敷とある。、その屋敷の外観も立派で、川下りコースからもその威容を見ることが出来る。その袋町は、渡辺邸をはじめ連なる家に生垣を施してあり、生垣が続く落ち着いて風情を残しており、私の好きな散歩コースの一つである。
数年前までは、道路向かいにもう一軒武家屋敷があったが、人がすまなくなって久しく、かなりくたびれた様子であったが、２年ほど前に取り壊され、近代的な建物に変わってしまった。
柳川は、城下町である。しかし、その名残をとどめるものは、あまり残っていない。お城も無ければ、武家屋敷も心細いほどの数である。この渡辺邸を含め、１０軒もない。その中で、歴史文化の町の財産として活用できそうなものは、５つほどである。その中の一つが売りに出されてしまった。そのインターネット物件情報を見てみると、2380.28㎡、坪単価１０万円、価格7,200万円、現況渡しで、建物取り壊しは市との協議必要とある。建物は100年以上は経過しているから、不動産評価はゼロということで、あくまでも土地の評価額だけである。それも即時引き渡しとある。買い手さえつけば、伝統的武家屋敷があっさりと取り壊されてしまうということになる。
この情報を市当局は知っているのだろうかと、担当課へ聞いてみると、不動産業者が建物の取扱いを尋ねに来たらしく、取り壊しの際には建物の調査を行うことになるということを伝えたとのことである。勿論、文化財の指定も何も無いから取り壊しを規制することはできない。それでもどうにかならないものか思案。今日、三役のうちの２人と面談。もちろん面談したからと言って解決策が出てくるはずも無いのだが、頭を抱えるばかりである。市民の皆さんから言えば、市が購入すればいいじゃないかとなる。私もそう思う。しかし、今の柳川市には、そういう伝統的建造物を含め、掘割や柳川が持つ様々な財産を掘り下げ、どう生かしていくのか意志というものが見えない。こういう市の財政状況で、そういったものを買ってどう活用するんですかとなる。市長をはじめ誰もが、柳川の景観形成、文化遺産を活用したまちづくりと観光業の活性化を口にするが、では具体的にとなると、掘割を生かし、歴史文化遺産を活用した活性化策と言いながら、観光情報センター、柳川の偉人文人館、足湯、散歩道、道の駅、川の駅、海の駅などの物産販売所などなど、新たな投資を必要とする箱物や公共事業ばかりである。昔から持っている財産を活用した政策というものに乏しい。
国県の補助があるとは言え、金を使って新たなものを作るのは簡単なことである。しかし、歴史的建造物をはじめ昔からある物は、一度無くなってしまえば２度と元には戻らない。全国的に見ても、昔からその町にあるものを大事に守り、復元までしてまちづくりを行っている。新たに金をつぎ込んで町並みを整備しているところも少なくない。そういう町の成功例をよく目にするようになってきた。
柳川には、少ないながらもそういったものが残っている。そういうものをどう守り、どう活用していくのかの議論が沸きあがらない。なんとか、あの建物を残せないものかという声は上がるが、そのうちにその声は小さくなっていき、そのうちにとうとう無くなってしまった、である。そういう自分もその一人なのかもしれない。しかし、少しでも声を広め、色んな人を巻き込んで、声を大にしていかなければ、繰り返しで終わってしまうと思う。
柳川を含め筑後南部、有明海沿岸の地域という所は、のんびりとした風土で、昔から豊かな地域であった。勿論、柳川の場合は、柳川掘割物語ではないが、命の源である水を確保するため、先人が知恵と血と汗の苦労をして、柳川の水の構図を創り上げてくれている。しかし、よく考えてみると、他の地域には無い新たな物を作り出したり、独特の産業というものもない。地域にある産業といえば、１次産業はもとより、全国どこにでもある産業しかない。
水の確保に苦労したとは言え、温暖な気候であるから農産物は安定的に収穫できる。海も湾であるため、冬でも荒れることは少ないから、いつでも宝の海の恩恵にあずかることができる。だから、この地域には干物文化が無いに等しい。外海に面した地域には、アジの開きや粕漬けをはじめ、漁に出れない冬のタンパク源の確保のため、様々な干物文化がある。営々と千年2千年にわたって、そういう自然の恵みを享受してきたこの地域の風土、明日に対する危機感、南の島にも似通った食うには困らない、のんびりとした風土というものは自ずと出来上がってきたと思う。
それに引き換え、外海に面し冬は荒海で漁に出れない地域、雪にとざされ営農もままならない地域、そういった地域には、独特の産業が発達しているところが少なくない、また、そういった環境克服のため、様々な苦労を強いられてきた。私が代議士秘書時代、北陸や東北地方からやってきた陳情を目にする機会がある。その人たちの予算獲得、事業採択のための熱意たるや凄まじいものであった。役所の担当者のアポイントを取るのは勿論のこと、おらが村のこの事業はこれほど素晴らしく、この事業によって地域がどれだけ活性化するか、必死に熱く担当課長に訴えられる姿は、傍らで見るものにとっても胸に来るものであったし、それを受ける役人にとっても心を動かされる思いであったらしい。それに比べ、我が故郷筑後の人たちはどうかと言うと、型どおりのご挨拶というか、担当者がいようがいまいが、陳情書を机に置いてくればそれでいいという人たちが多かったのを記憶している。
あの東北や北陸、疲弊した地域の明日にかける思い、少しでも明日を良くしなければという熱意は忘れられるものではない。あの熱意こそ、その人に託す地域住民の熱意の表れであり、それが地域の意思を生み、その陳情者の熱意に現われ、人を突き動かし、地域を活性化していく原動力であると思う。
気候、風土に恵まれた私たちの柳川。そこで先人が苦労して築き上げ、守り、私たちに渡してくれたものをしっかりと守っていくのが私たちに与えられた使命であると思う。
今回の武家屋敷は、もちろん個人財産である。その意向を止めることが出来ないのは勿論である。しかし、我が柳川いとっては、数少ない貴重な文化遺産である。それを、どうにか守り、活用できないか。そういう意思を持つのか、持たないのか、どう動くかで柳川の明日の姿は大きく分かれることになると思う。一つの不動産売買の話ではあるが、こういう機会だからこそ、一石を投じたい。
1月４日 あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます。今年も、この柳川日和を宜しくお願いいたします。
今日は、仕事始めの日である。朝から、ニュースは、仕事始めの前の三社参りの風景を映している。
自分も、朝食の前に、ナマスとお神酒をいただき、気持ちも新たにスタートである。ところが、電話が鳴って後援会の方の訃報のお知らせ、お昼の葬儀に参列することになる。また、昨年暮れから引きずっている事故処理の連絡。１年のスターのの日に慌しい。しかし、仕事が議員と保険だから、関係ないのは当たり前である。弔電発送、事故処理の電話を済ませ、いざスタート。
テレビではないが、自分も三社参りからである。といっても、除夜の鐘を聞いてから、近くの日吉神社にお参りしているから、今日は、２つお参りする。まずは、三柱神社。焼け落ちた拝殿の復興はまだのため、今年も仮設の拝殿にお参りする。それでも、人出もちらほら、境内には、巫女さんがお守りを売っている。
続いて、すぐ近くの宮地嶽神社。お参りの顔ぶれは、さきほど三柱で会った人たち。やはり、誰しも三柱神社の後は、ここに来るようである。拝殿前にテントが張ってあり、こちらは氏子のお世話の方々がいらっしゃる。それも顔見知り。おかげで、宮司さんを呼んでくれ、お払いをしていただく。ついでに、お神酒を勧められる。ここのは、アルコール抜きの甘酒。それも、米麹入りである。何だか得したような気分になり、気分も新たにさせていただいた。
それから、今年の仕事始めは、議会だよりの編集である。市役所へ向かう。議会のある４階へ上がっていくと、事務局の職員が、議員のロッカー室から、ロッカーを運び出している。合併直後の議会は、議員が５３名いた。昨年の改選で、３０人となったため、不要なロッカーを運び出しているのかと思いきや、議会だよりの編集のため模様替えをしてくれていたのである。運び出されてロッカーのあったスペースにテーブルを並べると、それらしくなってくる。編集のため、２名の議員もご出勤で、編集作業をしてくれている。まじめな議員さんである。
ところで、ロッカーを運び出す際、一苦労だったようである。とうのも、書類と本で埋め尽くされているものがあり、重くて動かなかったらしい。議会では、資料やら配布物や、記念誌など、受け取る書類はかなりの量になる。それをそのままロッカーにしまっていたのだろう。
そういえば、小学生、中学生のころ、教科書はもとより配布されるものから、テストにいたるまで、そのまま机に放り込んでいた生徒がいた。学期末や学年末には先生から指摘を受け、せっせと片付けていたことが思い出される。
もちろん、学校と一人前の社会人では一緒には出来ないが、議員にとって貴重な資料も少なくない。それを、そのまましまっていて、どうしているのだろうと思ってしまった。
社会の組織というのは、能力だけが優先され、まじめな性格だけの人間のみでは成り立たない。色んな能力、性格、そういったものが集まって組織というものが構成され、機能するのだと思う。議会は、有権者から、付託を受けた議員の集まりである。それでも、議会の中の世界は、一般社会の組織とあまり変わらない気がする。。色んな性格、能力、特徴の人たちの集まりである。議員通し話をしたり、行動を見ていると千差万別、面白い。まじめな議員、破天荒な議員。皆を笑わせて和ませる議員。妙な所に能力を発揮する議員。色々である。ロッカーと書類入れのケースの書類のたまり具合を見ると、それが垣間見えてくるようで面白い。しかし、有権者には、見せられないシーンかもしれない。